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株式譲渡と事業譲渡の違いとは?メリット・デメリットについて投資ファンドが解説

M&Aにおける買収手法とは?

M&Aの略称は、Mergers And Acquisitions(合併と買収)ですが、Acuisitions(買収)側の主な手法は、株式譲渡と事業譲渡に分けられます。では一体、株式譲渡と事業譲渡の違いはなんなのでしょうか?

関連用語→株式譲渡とは?事業譲渡とは?

これら二つのスキームはかなり文字的にも似ていますし、混同して使っているケースもよく見かけます。しかし、この2つには大きな違いがあり、それぞれのスキームにメリット・デメリットが存在します。まずは、それらの違いや特徴を簡単につかみ、「こういうケースでは、このスキームを用いるの方がいいのではないか?」と簡単にでも、自分で考えてみることができるようになるというのが、このコラムのゴールです。

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M&Aには、「買収」「経営統合」「分割」の3つがあり、株式譲渡、事業譲渡によるM&Aは「買収」に分類されます。

株式譲渡と事業譲渡とは?

ここで、先に「株式譲渡」と「事業譲渡」について簡単に説明します。

株式譲渡」とは、売手となる会社が発行している株式を一般的には、最低でも2分の1以上、多くは3分の2以上の議決権株式を買収することで経営権を取得する手法であり、

事業譲渡」とは、売手となる会社から、「一定の営業目的のために組織化され、有機的一体として機能する財産」としての事業の一部またはすべてを買い取る手法とされています。

株式譲渡では、資金を渡し、株式(経営権)を取得することで、売手企業まるごとを手に入れている一方で、事業譲渡では、売手の一部の事業・資産を手に入れています。

簡単に言えばこれが違いとなります。

では、この違いによってどのようなメリット・デメリットが生じるのでしょうか?もう少し詳しく見ていきましょう。

株式譲渡と事業譲渡の違いとは?メリット・デメリットについて解説!

1 承認手続きの容易さ

株式譲渡の場合、例え株式100%の買収であっても、取締役決議のみでM&Aの実行が可能です。

一方、事業譲渡の場合、取締役決議に加えて、株主総会の特別決議が必要になり、そこでの承認が必要となります。

このように手続きの容易さの観点では、株式譲渡の方が有効のように思えます。

2 権利や義務、契約について

株式譲渡の場合、売手が保有している契約や資産は、手続きのみで包括的に承継可能です。

一方、事業譲渡の場合、譲渡する契約や資産を適切に特定・分別し、それらの個別ごとに取引先等から合意を得る必要があります。

具体的には、許認可権と従業員についての対応があります。

前者に関しては、もし医薬品に関するM&Aを実行する際に、株式譲渡の場合は、包括的であるので、医薬品の販売等に必要な許可を引き継ぐことは可能です。一方で事業譲渡の場合は、それらの権利を引き継ぐことは難しく、新たに自力で取得する必要があります。

後者に関しては、もし従業員の契約を結ぶ際に、株式譲渡の場合は包括的であるので新たに従業員の契約を結ぶ必要はありません。一方で事業譲渡の場合は、新たに契約を結ぶ必要があり、万が一契約締結時に、売手の従業員が離れてしまうこともあります。

このように権利や義務、契約の観点では、株式譲渡の方が有効のように思えます。

3 リスクと需要について

株式譲渡の場合、包括的に承継されるために、欲しかったC部門以外のA・B部門には、簿外債務がある可能性や、買手とはあまりにもかけ離れた事業のためうまくシナジー効果を生み出せない可能性もあります。

一方で、事業譲渡の場合、買手が欲しい部門だけを指定して個別に買収できますし、赤字の部門を切り離すこともできます。

このようにリスクと需要の観点では、事業譲渡の方が有効のように思えます。

この他にも課税や債権者保護などの差異もあり、株式譲渡と事業譲渡には大きな違いがあり、それぞれにメリット・デメリットがあることがわかりました。

株式譲渡と事業譲渡の企業事例

ニトリの株式譲渡

株式譲渡の具体例として、家具や家庭用品を扱うニトリHDが、ホームセンター事業に従事する島忠をTOB(株式公開買い付け)で買収したのが挙げられます。ニトリの店舗数は国内外600余りの店舗数を誇りますが、首都圏進出には余地と費用の限界を迎えていました。一方で、島忠の店舗数は60店舗と少ないものの、店舗の9割が首都圏に存在していました。

このM&Aによって、ニトリは、進出困難だった首都圏店舗で、高品質家具を、島忠は、全国さまざまな地域で、ホームセンター商品とホームファッション商品を売ることができます。このようなシナジー効果を獲得するために、ニトリHDが発表したTOB価格は1株当たり5500円で、買い付け予定の下限を島忠株式の50%として、買収計画を立てていました。

関連記事→シナジー効果が発揮された企業事例はこちら

田端大学の事業譲渡

一方で、事業譲渡の具体例として、INCLUSIVE株式会社の戦略子会社であるNewsletter Asia株式会社が、株式会社田端大学校が運営するオンラインサロン「田端大学」及びデジタルコンテンツ配信サービスを事業譲受したことが挙げられます。

「田端大学」は現在、塾長の田端信太郎を中心として、ブランディング・マーケティング・セールスなどのビジネス知識やビジネスマンに必要不可欠なスキルを身につけるプログラムを提供しています。

INCLUSIVEはこのサロン事業のみを買収し、市場に進出することで、企業が掲げる「クリエイターエコノミー構想」の展開に有用であることかつ、『事業開発ノウハウや、事業のスケール拡大に有効な制作・編集効率化ノウハウとのシナジーが期待できる』(INCLUSIVEのHPより)とも述べています。

最後に

このように株式譲渡と事業譲渡の違いを説明してきましたが、いかがだったでしょうか?

また、今回は簡易的な違いについて説明してきましたが、まだまだ詳細の違いは多く存在し、M&A実務上は、適切にスキームを使い分ける必要があります。

そのためどちらを選択した方がいいのか、専門家や経験を積んだものにサポートを頼むのが一番早くいです。

また、何か不安な点などございましたら、ぜひ下記のリンクよりお気軽にご相談ください。


記事監修

三戸政和(Maksazu Mito)

2005年ソフトバンク・インベストメント入社。兵庫県議会議員を経て、2016年日本創生投資を投資予算30億円で創設し、中小企業に対する事業再生・事業承継に関するバイアウト投資を行う。



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