中小企業はもっと仕入れ先と価格交渉をしよう

「仕入れ」のデューデリのチェック項目

ビジネスフローに従ったビジネスデューデリの解説の続きです。

「仕入れ」についてのデューデリでは、どんなものをいくらで仕入れているか、仕入れ先はどこか、仕入れ先との関係はどうか、支払い条件はどうなっているか、などがチェック項目になります。

とくに、仕入れ価格と支払い条件についてはしっかり見ましょう。仕入れ価格と支払い条件はいずれも、改善の可能性が高い部分だからです。

どんなリスクや改善ポイントがあるか

中小企業では、仕入れ先と価格の交渉をしていないケースが珍しくありません。ヒアリングをして、価格交渉をしていないことがわかれば、仕入れ価格を下げられる可能性があることになります。

支払い条件はその会社の信用力を測る目安です。その会社が、約束手形で支払いできる会社なら信用力のある会社になりますし、支払い条件が厳しいなら信用力のない会社になります。

もし支払い条件が厳しい場合、リスクではありますが、逆に、改善ポイントとも考えられます。たとえば、支払い条件が長年現金払いだったということなら、交渉をすれば、支払いを翌月払いにできるかもしれません。資金繰りに1ヶ月分の余裕が生まれるということは、資金繰りにとっては大きな改善になります。

仕入先との関係、仕入れ先の経営状況のチェックも大切です。仕入れ先との関係が悪くなって関係が切れたり、仕入れ先が倒産したりすれば、一気に仕入れ先に困ることになり、大きなリスクになるからです。

実際にあったリスク事例

私の投資先で、珍しい原料を使った消費財を作って売っているところがありますが、その原料は珍しいため、仕入れ先が限られていました。原料の仕入れができなくなれば、商品が作れず、事業の継続ができなくなるリスクがあったわけです。

ですから、その会社を買うときは、仕入れ先の経営が安定しているか、そことの関係はどうかを調べるとともに、そこがダメになった場合の、代わりの仕入れ先をチェックしました。代わりの仕入れ先は、全国で2、3社あることがわかりました。その結果を踏まえて、この投資は実行されました。このように、リスクを把握し、その対応策を含めた投資の判断材料を集めるのが、デューデリの役割になります。

ビジネスデューデリの解説、続きます。


記事監修

三戸政和(Maksazu Mito)

2005年ソフトバンク・インベストメント入社。兵庫県議会議員を経て、2016年日本創生投資を投資予算30億円で創設し、中小企業に対する事業再生・事業承継に関するバイアウト投資を行う。



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