資本家マインドセット(著:三戸政和) WEB版 vol.1

資本家の思考方法や行動原則、いわゆる「資本家マインドセット」を今だけ無料で公開。今回はその第1弾です。

この「資本家マインドセット」は、ベストセラーを記録した『サラリーマンは300万円で小さな会社を買いなさい』の著者である、三戸政和の生い立ちをはじめとして、「資本家」としての生き方をサラリーマンに提案するビジネス書になります。

資本家というものは、労働者から搾取する人というような悪印象を持たれることが多いですが、三戸が考える資本家とは、「お金からも働くことからも自由な存在」であり、サラリーマンという職業がもはや絶滅の危機に瀕している時代において、なるべき存在であると本の中で説いています。

「どうやったら「資本家」になれるのか」や「資本家とはいったいどんなマインドセットなのか」といったことを、紹介しているので是非ご覧ください。

1-1 やりたいことが見つからなかった

会社を買い、資本家になるための参考として(それほど参考にならないかもしれませんが…)、私自身が、どんなプロセスを経て、資本家になったのかをお伝えしたいと思います。

大学では商学部に通いました。その頃から、サラリーマン的な既存のレールに乗って生きていくのは面白くない、いずれは会社経営をしたいと考えてはいましたが、自分がどんな仕事をしたいのかがわからず、就職活動はしませんでした。

そんな状態で卒業し、とりあえずは公認会計士を目指そうと勉強を始めました。資格を取って、安定した収入を得ながら、のんびりと、「やりたいこと」を探そうと思ったのがその理由ですが、現実はそう甘くありませんでした。ビジネスを理解していない状態で会計を学んでも、全然身に入らず、結果的に資格取得は断念することにしました。

どこかに就職しなければと、就職先を探し始めて知ったのが、「ベンチャーキャピタル」という仕事でした。もともと、コンサルタントのようなところで、さまざまな業種、業態を横断的に見て、経営を学びたいと思っていたのですが、ベンチャーキャピタルは、投資という形で自らリスクを負うビジネスであり、コンサルタントより実業に近いところで経営を学べ、自分にも合っているなと直感しました。そして縁もあり、ベンチャーキャピタルに就職することができました。

1-2 ベンチャーキャピタルで得たもの

会社では、ベンチャー企業への投資の是非を判断する審査部へ配属され、毎日、さまざまなビジネスの経営者に接することができました。この時期に、IT系や創薬系など、さまざまな業種の経営者に会って、話を聞けたことが、私の大きな財産になりました。会った経営者の数は1000人を超えると思います。ただ、そんな財産を得ながらも、同時に、私が強く感じていたのは、「このままサラリーマンでいることはできないな」ということでした。

そう感じた1つ目の理由は、株の威力を知ったことです。サラリーマン時代に付き合った何人もの起業家は、私の目の前で、株式上場を果たし、ミリオネアになっていきました。ヤフージャパンで事務をやっていた女性が、もらっていた1株で1億円を手にしたという話も聞こえてきました。こんな株が持つ威力に接して、サラリーマンという立場にいては、どんなに業績を上げようとも、転職をしたとしても、パッとしないなと感じたのです。

もう1つの理由はサラリーマン的環境の不毛さです。会社内は社内政治や上司への忖度がはびこっていました。こんな環境で、いつまでも仕事を続けるのはムリだと強く感じたのです。

1-3 政治家として学んだこと

サラリーマン的生活をリセットしようと選んだのが、子どもの頃からの夢だった政治家でした。ひょんなことから民主党の公認制度を知った私は、その翌日にはレポートを書き上げて党に提出しました。そして無事、民主党の公認を受けることができ、兵庫県の県議会議員選挙に立候補して、当選しました。

このときの選挙費用は、党からの選挙資金と知人の経営者が出してくれたお金を当て、結果的に私は1円も出すことがありませんでした。やりたいという熱意があれば、お金はついてくるものなのです。

県議時代は、限られた予算のアウトプットを最大化できるよう、行政改革を目指して活動しました。しかし県議という立場は、国会議員より権限が少なく、市町村議会議員ほど地元と密着していない、いわゆる中二階と揶揄される立場で、できることには限界がありました。自分のやりたいことと党の組織人としての行動も乖離して、民主党もクビになってしまいました。そこで、首長に転身を図ろうと、地元、加古川市の市長選挙に挑みましたが、惨敗しました。

この政治家時代、私が思い知らされたのは、組織で生き残ったり、多数の支持を受けたりする政治家になるには、強い意見を持たず敵を作らないことが必要、ということでした。私は残念ながら、そういうタイプではありませんでした。

会社内の政治的な行動がイヤで、サラリーマン的生活をリセットしようと政治の世界に飛び込んだ私ですが、そこで、本家本元の政治的行動が求められて、嫌気がさすという結果となってしまいました。いま振り返ると、そうなって当然だとも思える結果なのですが、何事もやってみないとわからない。自分ではそう捉えています。

政治家をあきらめ、次の道を模索しているとき、私の目の前に開けてきたのが、資本家という道でした。

私がどのようにその道と出会ったのか。次のコラムでお伝えします。

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記事監修

三戸政和(Maksazu Mito)

2005年ソフトバンク・インベストメント入社。兵庫県議会議員を経て、2016年日本創生投資を投資予算30億円で創設し、中小企業に対する事業再生・事業承継に関するバイアウト投資を行う。


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