ビジネスデューデリジェンスの目的
前回のコラムで、スモールM&Aでは、ビジネスデューデリ、財務デューデリ、法務デューデリの3つのデューデリが必要だという話をしました。そして今回のコラムでは、この3つのデューデリのうち、まずはビジネスデューデリジェンスのやり方から、詳しく解説していきます。
ビジネスデューデリの目的は、その会社のビジネスを理解するとともに、そのリスクを把握することです。作業としては、財務書類や取引のデータに当たったり、オーナーや担当者にヒアリングしたりします。金額の大きいものや気になるものについては細分化して、詳しく見ましょう。
リスクを見つけたら、それをヘッジする方法を考えるのもデューデリの役割です。リスクヘッジは、買収価格を下げるなど価格面でヘッジすることが多いですが、それ以外の方法があればそれも検討します。
「市場動向と競争環境」のデューデリジェンスとは?
ではビジネスデューデリのやり方を、ひとつひとつ見ていきます。
まずは、その会社の置かれた市場の動向や競争環境についてのデューデリです。
このデューデリでのチェック項目は、その市場には何社くらいのプレイヤーがいて、どんな競争環境にあるのか、規制や許認可の動向はどうなっているか、参入障壁はあるか、需要の変動はないか、市場の成長性はどうか、などがあげられます。
方法はオーナーからのヒアリングがベースとなります。帝国データバンクなどの調査会社のデータ閲覧やインターネット検索も必要な作業です。可能であれば市場関係者からも話を聞きましょう。
中でも、規制や許認可についてのチェックは重要です。中小企業の経営では、規制や許認可は大きな変動要因です。たとえば、介護サービスの会社なら、介護保険サービスの点数が変更される度に、売上は大きく変わります。
その会社のビジネスにはどんな規制があるか、規制が変更される可能性はないか、監督官庁の動きはどうか、をしっかりチェックしましょう。市場の動向や競争環境について把握したら、ビジネスフローに沿って、ビジネスデューデリを進めていきます。
ビジネスフローは業種や業態によって変わります。たとえば製造系の会社なら、「研究開発~仕入れ~製造~生産~営業」というビジネスフローになります。この製造系のビジネスフローを例に、ビジネスフローのデューデリを解説していきます。
次のコラムに続きます。
記事監修
三戸政和(Maksazu Mito)
2005年ソフトバンク・インベストメント入社。兵庫県議会議員を経て、2016年日本創生投資を投資予算30億円で創設し、中小企業に対する事業再生・事業承継に関するバイアウト投資を行う。