福岡県でM&Aを成功させるためには、福岡産業について知ることが必要です。福岡県の第三次産業は国内12都市でトップであったり、たけのこの生産量が日本一であったりなどの特徴があります。また、屋台文化が残存しており、観光業も盛んです。これらの特徴を知ることで福岡県でM&Aによる事業継承がしやすくなります。それぞれ見ていきましょう。
福岡産業の特徴
国内12都市でトップの第三次産業
福岡県の第三次産業が占める割合は人口100万人超の国内12都市の中でトップとなっています。福岡県の中でも福岡県福岡市は、市内総生産の9割を占めているのが卸売、小売などの第三次産業です。
福岡の市域内には一級河川が無く、工業用地もなかったことから第三次産業が大きく発展しました。
福岡県も元々は工業都市を目指していました。しかし、1966年に策定された「第二次総合計画」により、商業地である博多の歴史を踏まえ第三次産業を重視した路線へ変わったのです。その結果、福岡県は発展し「買い物が楽しい街」として注目されるようになりました。
今後も博多や天神エリアが都心再開発を通じ、さらに「買い物が楽しい街」になることが期待されています。
日本一を誇るたけのこ生産量
福岡県のたけのこ生産量は日本一を誇ります。2020年は7,486トンのたけのこが生産されており、全国シェアは28.3%でした。(食品データ管調べ)
福岡県北九州市の合馬たけのこ(おうまたけのこ)という地域ブランドが有名で、日本一の栽培面積を誇ります。北九州市の合馬地区の土壌がたけのこ栽培に適していることが、日本一の栽培面積を誇る理由です。ほかにも様々な努力があり、生産技術を高めてきたことで、高い評価を得てきました。
残存している屋台文化。観光業も盛ん
福岡県の博多市には、屋台文化が残存しています。県外からの来訪者には珍しい存在とため人気の観光スポットです。
屋台ではラーメンや焼き鳥はもちろん「筑前煮」と呼ばれる福岡県の郷土料理「がめ煮」も味わうことができます。福岡の繁華街である天神・中洲近辺に屋台が存在するため、観光客だけでなく地元民からも人気です。
福岡県の食文化には独自性があり、食べ物が美味しい都道府県として知られています。福岡県の強みである「食文化」と珍しい「屋台」を掛け合わせることで、新たな付加価値が生まれることが期待されています。
福岡県のM&Aの特徴
福岡県の社長の平均年齢は2022年の4月時点で約62歳となっています。また、将来的に廃業を考えている60歳以上の経営者は半数以上です。(東京商工・日本政策金融公庫調べ)この後継者不足を少しでも解消するために、JR九州が事業継承ファンドを設立し、後継者不足に悩む中小企業の受け皿となっています。
しかし、福岡県は他県に比べ県外からも買い手が見つかりやすいという特徴もあります。それぞれ見ていきましょう。
福岡県外からも買い手が見つかる
福岡県のM&Aは東京などの県外からも買い手が見つかることがあります。M&Aによる事業継承は後継者不在である企業の選択肢の一つです。このM&Aによる事業継承は地方にも浸透してきました。浸透してきたことで、九州エリアだけでなく東京などの他県企業が事業拡大や地方進出を目的に買い手となることがあります。
他県の企業が買い手となる場合、買い手にとっては福岡県の人材やサービス、文化などを効率的に手に入れることができます。売り手にとっても後継者問題が解決され、従業員の雇用も守られることから、福岡県×福岡県外でのM&Aによる事業継承も行われます。
福岡でも進む高齢化問題
福岡県は九州地方の中心都市であり四大都市圏の一つです。東京都や大阪府、愛知県に続く経済都市を持っています。しかし、福岡県でも高齢化問題が進んでいます。帝国データバンク調べによると、2021年の後継者不在率は64.1%です。2019年から若干減少していますが、経営者の半数以上が後継者不足となっています。
JR九州が事業継承ファンドを設立
福岡県に本社を置くJR九州が2021年に事業継承ファンドを設立しました。事業継承ファンドとは後継者不足やコロナによる人材不足を解決するために設立したファンドです。投資総額は50億円となっており、出資後に投資先のニーズに応じて人的支援等のサポートを行い、事業運営を支援します。ファンドを設立し、株式の受け皿会社を設立することで、地域経済を支えるとともに、事業領域拡大に繋げることが可能です。
福岡県の中小企業の動向
福岡県は2009年以降、中小企業数は減少し、人材不足感が強い状況が続いています。中小企業の動向を知ることで、M&Aを行う際の計画に役立てることが可能です。それぞれの動向を詳しく見ていきましょう。
減少する中小企業数
福岡県の中小企業の企業数は、2009年以降減少しています。開業率は2019年から2020年にかけて上昇していますが、後継者不在問題から中小企業の数が減少してきていると考えられます。中小企業の半数以上が「後継者不在」なため、後継者を見つけることで中小企業の減少を抑えることができるでしょう。
コロナ禍における人手不足
福岡県の中小企業のアンケートでは46.2%が人手不足と回答しています。(福岡県商工政策課アンケート)2015年から2020年の人口増加率は全国7位となっており、人口自体は増加しています。(都道府県市区町村調べ)
福岡県はアジアの玄関口として世界からの人気を高めています。そのほかにも再開発計画が進んでおり、ビジネス街として発展する見込みです。
そのため、人手不足で悩んでいる企業を買収することも一つの手段となります。
福岡県でのM&A成功事例
これまでは、主に福岡県でM&Aによる事業継承をするために必要な情報を解説・ご紹介してきました。では実際はどのような企業が事業継承を行ってきたのでしょうか。福岡県でのM&Aによる事業継承の成功事例を2つご紹介します。
株式会社樽味屋(福岡県)を株式会社ヤマナミ麵芸社(大分県)が買収
野菜漬物製造業である株式会社樽味屋(福岡県)をラーメン店である株式会社ヤマナミ麺芸社(大分県)が買収しました。株式会社樽味屋の矢下社長には娘さんが一人おられましたが、家族で相談し身内で事業継承することは辞めました。矢下社長の右腕になっていた男性社員が継ぐという選択肢もありましたが、金銭面の問題で断念したそうです。
事業継承の条件として「社名の存続」と「従業員の雇用の継続」「幹部社員を年棒制にする」の3つの条件を出していました。一番に手を挙げた企業が今回の譲受企業であるヤマナミ麺芸社です。
BtoBがメインの株式会社樽味屋と、BtoCに強いヤマナミ麺芸社。お互いの強みを活かすことができると打ち合わせが順調に進み今回の事業継承が決まりました。
おお蔵(福岡県)をゲオホールディングス(愛知県)が買収
中古ブランド品の卸や輸出、古物市場運営を手掛けるおお蔵(福岡県)をゲオホールディングスが買収しました。ゲオホールディングスは「セカンドストリート」というブランドで古着や家電、生活用品などのリユース事業を展開してきましたが、高級ブランドについては優位性がない状況でした。
一方でおお蔵は高級ブランドリユース商材に強い調達力を持っています。ゲオホールディングスはおお蔵を買収することにより、幅広いリユース商材を揃えることが可能です。
おお蔵の古賀社長は、事業継承の問題やスピード感を持った店舗展開を考えた際に、ゲオホールディングスに売却することを決めました。
まとめ
今回は福岡産業や福岡県のM&Aの特徴、福岡県の中小企業の動向、M&Aによる事業継承の成功例について解説・ご紹介しました。
福岡県には独自の食文化があり、その食文化を希少性の高い「屋台」で味わうことができます。また福岡県の中心部である博多では、100年に一度と言われる再開発が行われており、ビジネスは加速するでしょう。
実際に福岡県外の企業が買収した事例も存在するため、福岡県でM&Aによる事業継承を検討している方はぜひご参考にしてください。