廃業する会社を買う方法とは?個人が買う場合のメリット・デメリットについても解説

みなさんご存じの通り、近年コロナウイルスによって廃業する会社が増えました。しかし、それは一時的な理由でしかありません。コロナ以前から、廃業・倒産する会社は多く、その理由は「人材不足」や「売上減少」「後継者不足」がほとんどです。コロナはそれに、追い打ちをかけたに過ぎません。国や企業による様々な努力がなされる中、なぜこの問題は年々増え続けているのでしょうか?

廃業する会社が増えている理由

中小企業オーナーの高齢化

廃業する理由の1つに、社長やオーナーの高齢化があります。東京商工リサーチのデータによると、現在の中小企業の社長平均年齢は62.77歳です。さらに70代以上の経営者も32.7%と、少子高齢化社会にともなって経営者の平均年齢も上がり続けています。そうなると、会社を引き継ぐ人がいない限り、廃業せざるを得ないという状況も増えてしまいます。なので、これからもまだまだ廃業してしまう企業が増えていく可能性があるということです。

推測される廃業する会社数

厚生労働省のデータでは、休廃業している企業は2013年移行増加傾向にあります。一時的には減ることもありますが、全体を通して見ると、右肩上がりで廃業する会社は増えています。ちなみに2021年も廃業・倒産した会社は減少しましたが、減少した理由はコロナ対策の支援金などによるものです。そうした特別な理由がない限り、これからも廃業する会社は増加していくと思われます。

廃業する会社を買う方法とは?

廃業する会社を購入する際に一番よく行われる方法は、M&Aを活用することです。M&Aには、仲介業者やマッチングサイトなど方法がいくつかあります。M&Aがどのようなものなのか?どのように活用すれば良いのか解説していきます。

M&Aとは?

そもそもM&Aとはなんなのか?「Mergers and Acquisitions」合併と買収です。他の会社と合併し、規模を大きくしたり、効率化を図る。もしくは個人が会社を購入し、経営権を譲り受けることが出来ます。個人で一から起業するよりも、圧倒的にコストや時間を抑えることが出来るので、利用する人も増えてきています。

株式譲渡

「株式譲渡」を簡単に言うと、会社を丸ごとそのまま譲り受けるということです。従業員から会社のシステムなど、その会社のすべてを引き継ぐことができます。契約を結んで、あとは買い手が譲渡金を支払えば手続きが成立する簡単で購入後も比較的楽なM&Aの方法なので、最もよく行われています。

事業譲渡

こちらも簡単に言うと、会社の一部の事業を譲り受けることを「事業譲渡」と言います。売り手側は、売上が落ちてきた一部の事業を売却できる他、全てを売却する訳ではないので、経営を続けられます。一方買い手側は、自分の購入したい事業・部分だけを購入することが出来るので、その会社が抱えているリスクや負債を切り捨てることが出来ます。また、別会社となるため、手続きや従業員の再雇用など様々な契約をし直さなくてはいけません。

廃業する会社を買うメリットとは?

廃業する会社を買うことは、自分で一から起業するよりも大きなメリットがあります。すべて自分で準備するとなると大変ですが、M&Aを活用することで、リスクや準備にかける時間を少なくすることも可能です。M&Aに興味がある方は、ぜひ参考にしてみてください。

通常の相場より安く買える

廃業する会社は、通常よりも安く買うことができるので、コストを大きく削減できます。廃業にはお金がかかるので「廃業するくらいなら安くてもいいから売りたい」という方や「引き継いでくれる人に譲りたい」と考えている方も多いからです。なので金額にはこだわっていない方も多く、発展途上の会社を買うよりもコストを大きく抑えることができます。

会社の人的資源・設備・顧客などが獲得できる

M&Aで会社を買うと、従業員や設備、その会社を慕ってくれている顧客をそのまま引き継ぐことができます。自分で起業する場合は、すべて自分で準備・獲得しなくてはいけないので、リスクと労力を大きく抑えて、安定した事業を始められる大きなメリットとなります。

後継者不足問題に直面している会社が多い

最初にも記述しましたが、現在オーナーの高齢化は進んでいます。60歳以上の経営者は多く、特に近年では、業歴が長い会社の廃業も目立っています。2021年は、後継者不足で廃業・倒産した会社は過去最高になっており、これからも増加していくと予想されます。

廃業する会社を買うデメリットとは?

廃業する会社を買うことにはメリットがたくさんありますが、もちろんデメリットもあります。デメリットも理解することで失敗するリスクを限りなく減らせるので、しっかり見ておきましょう。

簿外債務

廃業する会社には、簿外債務がある会社があります。簿外債務とは、賃借対照表などに出てこなかった借金のことです。財務管理をしっかり行っておらず借金を残してしまっている会社もちらほらあるので、よく確認してから買収しないとその借金まで引き継ぐことになってしまいます。譲渡する際に「表明保証」を記載してもらうなど、対策方法はいくつかあるのでしっかり確認してから行いましょう。

従業員との関係構築の必要性

従業員をそのまま引き継いだからといって、すぐに従って働いてくれる従業員ばかりではありません。あなたの理念やどのような経営方針なのかを伝えていかないと、辞めていく従業員や反発する従業員も出てきてしまいます。しっかり話し合ったり時間をかけて、従業員との関係を構築していかなくてはいけません。

トラブルの対応

オーナーが変わることで、これまで慕ってくれていた顧客や取引先との関係も新たに構築していかなくてはいけません。対応を怠ると、トラブルに発展してしまうかもしれないので充分注意しましょう。

顧客

顧客は、以前のお店やオーナーを慕ってくれていた可能性もあります。そういったことを考慮せず自分の考えだけで経営していくと、せっかく付いてくれている顧客も離れていってしまいます。まずはそのお店がどんな経営していたのかなど、背景を理解することも大事です。

取引先

取引先は特に、信頼関係で構築されています。前オーナーとの信頼関係があって成立していたので、急にオーナーが変わるとなると取引先の相手も困惑してしまいます。対応を怠ると取引を中止させられてしまう事態にもなるので、丁寧な対応や自分の考えを伝えることが重要です。

廃業する会社の見つけ方

では実際に、廃業する会社を見つけるにはどうしたらいいのでしょうか?おすすめの方法をご紹介します。

M&Aマッチングサイト

M&Aマッチングサイトとは、M&Aをしたい売り手と買い手をマッチングさせるサイトのことです。マッチングサイトにも様々あり、ある業種に特化したサイトや案件が多いマッチングサイトなどいろいろあるので、自分に合うM&Aマッチングサイトを選ぶようにしましょう。

M&A仲介会社・FA

M&A仲介会社・FAとは、M&Aを行う方の支援・アドバイスを行っている専門家です。FAはファイナンシャル・アドバイザーの略です。M&Aがスムーズに行われるよう支援してくれるので、M&Aが初めてで不安な方でも安心できるパートナーとなってくれます。

商工会議所

商工会議所とは、経営者や地域に対し、様々な支援を行っている組織です。商工会議所の会員になることで、多岐にわたる支援やサービスを受けられます。会員にならなくても、経営の相談などが可能なので、どんどん活用していきましょう。

まとめ

廃業する会社を買うことで、コストや準備にかける時間を大きく抑えることができます。従業員や顧客なども引き継ぐことができ、自分で一から始めるよりも安定した経営も可能です。ですが、確認を怠るとリスクまで引き継いでしまうデメリットもあるので、事前に専門家に相談したり、入念に下調べをしてから購入の手続きを行いましょう。

 

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