100万円で買うことができる会社のジャンルとは?事例も交えて個人M&Aについて解説

本記事では個人M&Aとは何か、また100万円でも会社を買収することができるのかといったことを説明していきます。近年、高齢化や地方の過疎化などの理由で個人M&Aをする方や今後していくことを視野に入れ、情報を取り入れようとする方が多くなってきている傾向があります。

個人M&Aとは?

帝国データバンクによると、2019年の倒産件数は8,354件で、そのうち「後継者難倒産」は460件と、過去最高を記録しています。それから2年たった、2021年の全国企業の後継者不在率は、61.5%となっています。つまり日本全国の会社の6割以上は、後継者がいないという現状です。

参考:「帝国データバンク」https://www.tdb.co.jp/report/watching/press/p190705.html

また、東京商工リサーチによると、2019年に事業承継を断念して休廃業・解散を選択した企業の件数は43,348件にものぼります。そして、休廃業企業の代表者の約4割が70代で、60代以上でみると8割(構成比83.5%)を超えています。代表者の高齢化が休廃業・解散を加速する要因になっていることは間違いありません。

参考:「東京商工リサーチ」https://www.tsr-net.co.jp/news/analysis/20190131_03.html

高齢化や地方の過疎化などの理由で売りに出される会社の件数が増えてきていることから、個人M&Aをする方や今後していくことを視野に入れ、情報を取り入れようとする方が多くなってきている傾向があります。

そんな中で今回は、今後は独立・開業をしていきたい、本業以外で収入を増やしたいなど考えている方のために、M&Aとは?、個人M&Aとは?、100万円でも会社を買うことはできるのか?ということを説明していきます。

M&Aとは?

M&A(Mergers and Acquisitions)とは、日本語では合併と買収という意味になります。既存の企業を他企業や個人が買収して、そのまま事業を継承することが広義的な意味になります。

近年、規模に関わらずM&Aを経営戦略として、行う、検討する企業が増えてきていますが、2019年帝国データバンクの調べによると
「5年以内に売り手、買い手としてM&Aを行う可能性があるか」という調査では、35.9%の企業が「可能性あり」と答えています。

譲渡企業の目的としては、事業継承や後継者不在といった問題を解決する、従業員や事業ノウハウや知識の継承などがあります。また、譲受企業の目的としては、新規事業の参入ができる、事業をスケールさせるメリットを獲得するなどがあります。

個人M&Aとは?

M&Aとは、企業同士が事業権利を売買することですが、企業同士ではなくても個人でもM&Aをすることは可能です。それが個人M&Aです。個人というのは、1人という意味合いよりも小規模という意味合いの方が強く、マイクロM&Aと言われることもあります。

従来、大手企業が行っていたM&Aは数千万〜数億円という買収金額がかかりますが、個人M&Aでは数百万〜一千万程度でスモールビジネスを売買することができます。近年では、普段は本業としてサラリーマンの方でも事業投資という観点から少額で個人M&Aをする方も増えてきています。

既存のお客さんや従業員をそのまま引き継いで、翌日には営業を開始することができますし、独立や開業をするとなれば、時間やお金、労力などのコストが大きくかかってくる可能性がありますが、個人M&Aではそれらのコストが大幅に削減することができます。

 

100万円で会社を買うことはできるのか?

結論からお伝えすると100万円でも会社を買うことは可能です。実際に国内で会員数が一番多いM&Aマッチングサイト「バトンズ」では100万円から買収できる会社が掲載されています。しかし、100万円となると買収できるビジネスの分野がある程度絞られてきたり、メリットはもちろんありますが、不良債権を負わされたりなどのデメリットもあります。

100万円で買える会社というのは、法人というよりは個人事業主や個人商店の延長にあるものが多く、金融機関とはほぼ取り扱いがないとされています。100万円で買える会社は十分に自己資金でも賄うことができるので、事業を大きくしたり、設備投資として資金が必要でない限りは金融機関から融資を受ける必要性がありません。自分がどのジャンルのビジネスに参入したいのか、どういった企業を買収したいのかなどによって探し方が異なってくるので、注意しましょう。

会社を買うことのメリット・デメリットとは?

それでは、次に実際に会社を買うことはどのようなメリットとデメリットがあるのでしょうか。主なメリットとして、

  • すでに人材や環境が整っているところからビジネスを始めることができる
  • その企業の価値や収益性などが開示されているため、今後の見通しが立てやすい
  • 顧客や見込み客のリストをそのまま引き継ぐことができる

などがあります。

それに対して、デメリットとしては、

  • 既存の従業員や会社関係者との関係性を構築していく必要がある
  • 簿外債務があることが発覚することがある
  • 自身の経験や強みが活かせない可能性がある

といったことがあります。それぞれについて説明していきます。

会社を買うことのメリットとは?

すでに人材や環境が整っているところからビジネスを始めることができる

ゼロから独立、開業をするとなると莫大なコストがかかります。

  • オフィスを借りる
  • WEBサイトや看板といった広告
  • 新規顧客の集客

など時間やお金、労力がかかってきます。また、あなたがその専門的な分野の知識や経験、実績などがなければ競合対策も大変になってくるでしょう。しかし、すでにある人材や環境をそのまま引き継ぐことができ、既存の顧客や広告などの受け継ぎも可能です。個人M&Aではそういったコスト面を大幅に削減することができます。

その企業の価値や収益性などが開示されているため、今後の見通しが立てやすい

買収する前には十分に企業情報を開示していることがほとんどです。そのため、今後のビジネスプランの見通しが立てやすいことがメリットとしてあります。買収を考えている企業のここ最近の売上や市場においての企業価値などを、十分に加味した上で買収することができます。

顧客や見込み客のリストをそのまま引き継ぐことができる

ビジネスを初めていく上で多くの経営者が悩まされるポイントとして多い1つが、顧客や見込み客の集客です。個人M&Aでは既存の顧客や見込み客のリストを引き継ぐことが可能ですので、新しく集客しないとお客さんが0ということは考えづらいです。

会社を買うことのデメリットとは?

既存の従業員や会社関係者との関係性を構築していく必要がある

既にいる従業員を引き継ぐことはできますが、そうした従業員との信頼関係を構築していく必要があります。書面上はあなたが経営者ではありますが、以前からそこで働いていた従業員の方が会社の文化や従業員同士の信頼構築ができていることがあるので、そこに対しての関係性をあなたが構築していく必要性があるでしょう。

簿外債務があることが発覚することがある

事前に情報は開示されていますが、事業買収の契約が締結してから簿外責務などが発覚することもあり得ます。そのまま事業継承することができるということは良い部分だけではなく、責務などの部分も請け負うことになるので十分に確認する必要があります。

自身の経験や強みが活かせない可能性がある

会社譲渡では、事業譲渡に存在する規約(競業避止義務)が定められています。市町村によっては一定期間にわたり経営権を譲った事業を営んではいけないといった義務が加えられる可能性があるので注意しましょう。自身の経験や強みがどのようなもので、どういった点で参入しようとしている事業で活かすことができるかを事前に確認しておきましょう。

100万円で買える会社の業界と特徴とは?

実際に、100万円で会社を買うことは可能ということをお伝えしていきましたが、100万円で買うことのできる業界と特徴をそれぞれ説明していきます。

 

飲食店

よく近所にできていたラーメン屋さんが、何ヶ月後かには名前が変わって違うラーメン屋さんになっているということってありませんか。中小企業庁の調べによると、「宿泊業・飲食サービス業」の開業率は8.7%、廃業率は5.9%となっています。飲食店の経営は廃業率が高く、廃業の際の撤退には多額の費用がかかってきます。そのため、少額でも事業継承をしたいという経営者の方が多いです。

美容室

入れ変わりが激しいという点では、美容室も同じです。コンビニの数より美容室が多いと言われています。それくらい入れ替わりが激しい業界でもあります。

あなたが美容師の資格を持っていなくても、美容師を雇っているのであれば十分に事業を行えます。失業率も高い職業なので、経営者が変わり労働条件をどのように改善してくのかといったマネジメント力が大きなポイントになっていくでしょう。

webサイト

Webサイトの運営を買収することもできます。ネットショップやアフェリエイトサイトなど、本来立ち上げて、サイトにアクセス数を増やすことや検索上位させるためには莫大な時間や労力がかかるので既存のWebサイトを買収することも1つの手法です。

宿泊施設

地方の温泉街や観光地において、後継者不足や経営者の高齢化、設備の老朽化などの理由で宿泊施設を100万円からでも個人M&Aをすることもできます。温泉街や観光地となると、既に多くの方に認知されている場合があり、既にファンが多く、設備やコンセプトなども新しく変更することもできるでしょう。

学習塾

塾の経営者や先生が高齢化によって、後継者不在で廃業にしたくないという理由でM&Aを希望しているケースがあります。既に生徒がいることがほとんどなので、生徒のために学習塾を存続させたいという方が多くいます。

しかし、進学実績を確保できなかったり、生徒の成績が落ちてしまったりすると生徒数が0になる可能性もあるのでサービスの質がとても重要になってきます。

100万円で買える会社の調べ方

もし、あなたが100万円で個人M&Aをしたいと考えている場合、どのようにして自分にあった既存のビジネスを探していけばいいのでしょうか。探し方によっては色々ありますが、自分にあっていない企業とマッチングしてしまうとあなたが請け負う損失は大きなものになってしまいます。

そうならないためにも、どのようにして調べるのかといった方法を説明していきます。

M&Aマッチングサイトとは?

マッチングサイトとは、名前の通りユーザーとユーザーをマッチさせるためのサイトです。M&Aマッチングサイトは、企業売却したいユーザーと企業買収を考えているユーザーをマッチさせるサービスということになります。

個人で調べて、M&Aに至ることはできますが専門家や税理士などが企業売却・買収においての手続きなどのサポートをしてくれるという点ではマッチングサイトを活用した方が効率的にM&Aを行うことができます。

100万円で買える会社の調べ方

実際に、どのようにして100万円で買える会社をどのようにしていつけるのでしょうか。見つけ方としては、やはりマッチングサイトに登録して、活用する方が見つかりやすいでしょう。

マッチングサイトでは、希望価格や買収条件、分野などを入力すると該当する企業を見つけてくれたり、あなたの提示した条件の企業が新しく売却先として挙げられたら連絡をもらえたりします。

普段、本業によって日中をお仕事されていて、それ以外の限られた時間で見つけていくよりはマッチングサイトに登録して、専門家に探してもらう方がいいでしょう。

まとめ

今回は、「100万円で買うことができる会社のジャンルとは?事例も交えて個人M&Aについて」解説してきました。現在、国内だけでもM&Aを行う方が増えてきています。従来までは、大手企業が数千万〜数億円かけて企業を買収することが主流としてありましたが、個人でも少額でM&Aという動きも増えてきました。今後、独立・開業を志していたり、本業以外で収入先を増やしていきたいという方はぜひ本記事を参考にされてみてください。

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