清算型手続きと再生型手続きとは?法的整理と私的整理との違いなども解説

会社を終わらせる方法の違う分け方

前回のコラムでは、会社の終わらせる方法は、法的整理と私的整理に分けられると紹介しました。そして、これは、「法律による手続き」と、「法律によらない任意の手続き」という分け方によるもの、ということもお伝えしました。

もう少し復習すると、前者の「法律による」会社の整理である「法的整理」は、裁判所の管理の下、透明性のある手続きによって、公平に進められていくものである一方で、後者の「法律によらない」任意の手続きである「私的整理」は、関係者の話し合いによって会社の整理が進められ、話し合いによって関係者全員の合意を目指すものでした。

今回のコラムでは、視点を少し変えて、会社を終わらせる方法を、会社の清算を目指す「清算型手続き」と、事業の再生を目指す「再生型手続き」に分けていき、それらについて説明していこうと思います。

法的整理の中で分けてみる

先にお伝えしますが、清算型手続きと清算型手続きは、「法的整理の中の、清算型手続きと清算型手続き」「私的整理の中の、清算型手続きと清算型手続き」に、つまり、4パターンに分けることができます。(私的整理の清算型は存在しませんが)

例えば、法的整理では、破産法の破産手続きや会社法の特別清算手続きなどが清算型の手続きで、会社更生法や民事再生法が、再生型の手続きになります。しかし、破産などの清算型の手続きで会社の一部を整理し、残りの事業は再生型の手続きで会社の再建を目指すなど、清算型手続きを事業再生のために使うこともできるので、それぞれの手続きの使い勝手やメリットデメリットを理解した上で、会社の状況や目的に合わせた最善の手続きを選ぶことが必要です。

今回のコラムでは、主な手続きについて、再生型か清算型かを確認しながら、詳しく見てみましょう。

まずは法的整理の手続きです。

再度、法的整理について確認すると、法的整理は、手続きが法律で定められていますから、手続きは公平で、透明性があり、意見が分かれた場合でも、多数決で決めることができるため、関係者に法的な拘束力をもって、厳格に進めることができます。しかし、いずれも裁判所の管理の下で手続きが進められるため、裁判所に納める予納金というお金が必要となる上に、手続きが公になることで、会社のイメージが損なわれますし、連鎖倒産など取引先への影響を踏まえた対応も求められることになります。

そして、そんな法的整理の手続きは、主に「民事再生法」・「会社更生法」・「特定調停」・「破産」・「特別清算」の5つに分けることはできます。一つずつ「清算型なのか再生型なのか」を見ていきましょう。

法的整理の中の再生型手続き

①民事再生法

法的整理の再生型手続きです。民事再生法の最大の特徴は、経営者自身が退任することなく、手続きを進められることです。手続きが開始されると、裁判所によって監督委員が選ばれ、その監督の下、経営者は、引き続き経営を担いながら、再生手続きを進めていくことになります。基本的には債務の大幅なカットを求めることになりますから、会社を破産させる以上に、多くのお金を債権者が回収できることを再生計画で示さなければなりません。そして、再生計画が過半数で承認され、裁判所が認めれば、実行に移っていくことになります。再生手続きに着手してから再生計画が認可されるまでは、およそ半年ほどで、比較的迅速に手続きを進めることができます。

②会社更生法

法的整理の再生型手続きです。会社更生法は、大企業の再生を想定した手続きで、経営陣は原則として退任し、裁判所によって選ばれた管財人が、経営を引き継いだ上で、再生計画を作ります。この手続きには、広く多く存在する関係者の利害を調整しなくてはならないため、手続きは厳格で、費用も時間も掛かりますが、その一方で、経営陣も一新され、株の価値がゼロにされて株主も完全に入れ替わることも多く、企業の抜本的な再生を進めることができます。

③特定調停

法的整理の再生型手続きです。これは、裁判所の管理の下、調停委員会が設けられ、その場で債務者と債権者が一堂に会して、債務者の救済のため、債務の減免などの調整を行い、合意を目指す手続きになります。

法的整理の中の清算型手続き

④破産

法的整理の清算型手続きです。破産法に基づいて手続きが進められ、債務を支払えなくなった個人や法人が破産を申し立てると、裁判所の選ぶ破産管財人によって、残っている財産があれば債権者に公平に分配され、債務は全てなくなります。手続きに債権者の同意は必要はなく、会社はなくなり、個人もゼロからの再スタートとなりますが、破産をしたという悪いイメージはつきまとうでしょう。個人ではクレジットカードが作りづらくなりますし、経営者も新しい事業を始めようにも、融資が認められづらいなど、破産のデメリットは少なくありません。

⑤特別清算

法的整理の清算型手続きです。会社の終わりに際して、債権や債務を清算する場合、債務超過でなければ、任意の清算手続きで済みますが、債務が財産を上回る場合、特別清算の手続きを申し立て、裁判所の監督の下、公平な清算を進めることになります。

私的整理の中で分けてみる

次に私的整理の手続きです。

再度、私的整理について確認すると、私的整理には、法的整理のような厳格なルールはなく、あくまでも債務者と債権者の任意の交渉によって、会社の整理を進めることとなり、万が一、債権者の協力が得られない場合に、法的整理に移ることになります。私的整理は、あくまで任意であるため、これまでは不透明な手続きで不公正に進められる懸念が拭えませんでしたが、国と経済界の協力によって、参照すべきルールが定められたことで、透明で公平な手続きが担保されるようになりました。

重要なのは、私的整理ガイドラインなどのこうしたルールは、いずれも再生型の手続きであるという点です。定められた手続きに則ることで、税制上も優遇措置を受けることができ、法的整理でかかる裁判所に支払う予納金などは必要ありませんが、専門家などから支援を受けるための費用は必要です。しかし、手続きを世間に公にしないまま進めることも可能で、風評被害などを防ぐことができます。手続きを進めるためには、関係者全員の合意が前提で、強制力はありませんから、関係者の利害や意向をうまく調整しながら、信頼を損なうことなく手続きを進めることが肝心です。

これまでに定められた私的整理のルールの主なものを見てみましょう。これらに関しては、別のコラムでも詳しく説明しているので、併せてご覧ください。

私的整理の中の再生型手続き(のみ)

①私的整理ガイドライン

私的整理の再生型手続きです。私的整理ガイドラインは、金融機関の不良債権問題を解消するための政府の緊急経済対策を受けて、金融界、産業界の紳士協定として、2001年にまとめられました。これは、不透明になりがちだった私的整理のルールを定めた画期的なものであり、これにならって以降のルールも定められています。このガイドラインでは、主要債権者である金融機関(メインバンク)が中心となって手続きを進め、債権放棄も含めた再建計画をまとめて、債務者と債権者の合意を得られれば、再建計画が実行に移されます。主要金融機関が中心になって手続きを進め、ほかの債権者の合意を取り付ける計画を示さなければならないため、その作業コストとともに、債権整理の内容でも、主要金融機関の負担が大きすぎるとの弊害が指摘されました。

②中小企業再生支援協議会

私的整理の再生型手続きです。これは、中小企業の再生を目的にしたガイドラインで、中小企業庁が各都道府県に相談窓口を設けられており、中小企業が事業再生に関わる相談や支援を受けることができます。窓口での相談は無料で、再生手続きを進める場合も、専門家の支援に掛かる費用の補助を受けることもできます。再生支援協議会は中立的な立場で関与し、そのサポートを受けながら、再生計画の策定などの手続きを進めることができます。

③事業再生ADR

私的整理の再生型手続きです。これは、民事上の紛争を、裁判の手続きによらずに、公正な第三者が関与することで解決しようというADR(裁判外紛争解決手続き)という手法を利用して、事業の再生を図る手続きです。法務大臣の認証を受けた事業者が、公正な第三者の立場で関与して、事業再生と債務の猶予や減免などの計画を作成し、手続きを進めていきます。中堅企業や大企業向けの手続きといえるでしょう。

さらには、こうした法的私的の倒産手続きとは別の再生型手続きとして、M&Aという手法が近年、増えてきています。M&Aというのは、会社の一部の優良な事業のみを譲渡したり、売却したり、会社を分割するなどして、会社の再建や事業の再生を図る手続きで、残りの会社や不採算事業については債務とともに法的整理などに移行させることになります。

最後に

ここまで、清算型手続きと再生型手続きについて見てきましたが、いかがだったでしょうか?

会社を終わらせるにあたって、いずれの手続きをとるのかについては、裁判所への予納金や専門家への費用などの諸経費の問題に加え、複雑な税金の問題も考えなくてはいけません。また、手続きがすべて終了するまでの時間も手続きごとにさまざまですし、従業員の雇用の問題など労働法務上の問題に目を配ることも大切でしょう。

どの手続きが、自分の会社の終わりには最適なのか、専門家のアドバイスを受けながら、こうした複雑な問題も考慮に入れて考えることが大切です。お悩みの際是非、下記のリンクより、お気軽にご相談ください。

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