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民事再生とは?その手続きや流れについてファンドが解説

民事再生とは?

前回のコラムでは、会社を終わらせる方法の一つの切り口である、法的整理と私的整理をさらに細分化した、清算型手続き再生型手続きについて取り上げ、それらの違いや内容について説明していきました。また、その中の「法的整理の中の再生型手続き」の一つとして、民事再生法というのを簡単に紹介しました。

今回のコラムでは、その民事再生」とその手続きについて、詳しく見ていきたいと思います。

民事再生法とは?流れも解説

まず、民事再生とは、民事再生法という法律に基づいて、会社や事業の再生を進めていく手続きのことを指します。ゆえにこれは、前述したように、法律で定められた法的整理の再生型手続きということになりますね。

もともと、民事再生法というのは、そぐわなくなっていた和議法の変わりとして制定されたものでした。しかし、民事再生法は、「失われた10年」といわれ、さまざまなシステムが機能不全となり、アップデートが求められた時代において、倒産をめぐるシステムも変革を余儀なくされたことで、真っ先に改正されました。そのため、改正された特筆すべき特徴は、企業の再生を目的として明確に掲げたことでした。

また、民事再生法に続いて、会社更生法も全面的に改正されることとなり、法律外の手続きとしての私的整理でも、事業の再生を目的としたルールが定められ、以降、事業再生や倒産の手続きに関するさまざまな手法や組織が生まれてくることになります。民事再生法をきっかけに、倒産を巡る環境は大きく変わったのです。

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そんな改正された、民事再生の大きな特徴は、その手続きを経営者自らが行うことです。会社更生法による会社更生では、原則として経営者は退任し、経営権は裁判所によって選ばれた管財人などの手に移ります。しかし、一方で民事再生では、その申し立てを受けて、裁判所によって選ばれた監督委員のもとで、その同意を得ながらという制限つきではありますが、経営者自らが、引き続き経営を担いながら、民事再生の手続きを進めていくことになります。

また、もう一つの特徴として、民事再生の手続きには、申し立ての際に、その金額が負債総額によって決められる予納金というお金を裁判所に納める必要があるということです。ちなみに民事再生においては、再生計画案を作成するなどの手続きを進めるには、弁護士や税理士、コンサルタントなどの専門家の協力も必要になるため、予納金に加えて彼らに支払う費用も用意しなくてはなりません。さらには、民事再生の申し立てから再生計画の決定まではおおむね半年かかるので、その間の会社の運転資金も確保をしておかなければなりません。専門家への費用や運転資金は、私的整理の場合も同様に必要なものですが、予納金は私的整理の場合は必要はなく、これが、法的整理の一つである民事再生のデメリットとして挙げられています。

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ここから、民事再生の流れについて説明します。ちなみに、民事再生法は、あらゆる法人に加え、個人も利用できます。まず、その手続きの流れをざっくりいうと、

  • ①裁判所への申し立て及び保全処分命令
  • ②再生計画案の作成
  • ③債権者集会、再生計画案の決議
  • ④再生計画の実行


という流れになります。ここからは、その流れに沿って一つずつ見ていきましょう。

①裁判所への申し立て及び保全処分命令

民事再生の申し立てがなされると、裁判所は保全処分命令というものを出します。これによって債務の支払いと手形決済は禁止されるため、手形の不渡りによる銀行取引の停止という事態を回避することができます。法的な強制力を持つ保全処分によって、債務の支払いに追われることなく、会社の再建に集中できる期間が生まれることになります。これは私的整理にはない、法的整理の大きなメリットといえます。一方、担保権については、再生手続きの影響を受けず、担保権者はいつでも権利を行使することができます。担保権が会社や事業の再生に影響しないかどうかを見極めて、ときには担保権者への協力を要請することも必要かもしれません。また、株主の地位についても変更はありません。

②再生計画案の作成

裁判所によって再生手続きの開始が認められたら、債務や財産についての調査とともに、会社や事業をどう立て直していくかについての計画案が作られることになります。債権者はこのとき、定められた期間の間に、債権の届け出をしなければなりません。これによって、手続きの対象となる債権が、再生債権として確定されます。届け出をされなかった債権は対象から外され、支払いを受けられなくなります。この手続きがあることで、会社や事業の再生に関わるスポンサーが、債務全体について把握でき、後に知らなかった債務が現れるといったリスクを避けることができます。再生計画案は、債務の弁済計画と事業計画のふたつで構成されます。債務の弁済計画では、どの程度の債務をカットし、残りの債務はどのようなスケジュールで返済をするのかを示し、事業計画では、会社や事業をどう立て直して、利益を生み出していくかについて示します。この際に重要なのは、この時点で破産手続きをとって財産を整理するよりも、再生計画を進めた方がより多くの金額を債権者に支払うことができることを具体的に示すことです。債務や財産の調査結果と再生計画案は裁判所に提出され、監督委員はそれについての意見書を提出します。

③・④債権者集会、再生計画案の決議・実行

次に債権者集会が開かれます。再生計画案は、この債権者集会で、過半数の承認(正確には「議決権を持っている債権者の過半数の同意」及び「調査で確定した総債権額の2分の1以上の債権者の同意」)で認められ、尚かつ裁判所が認可すれば、確定します。私的整理では、権利変更の対象となるすべての債権者の同意が必要ですが、法的整理では過半数の同意で手続きを進めることができ、これも法的整理の大きなメリットとなっています。

そしてようやくその後、再生計画は実行に移されていくことになります。申し立てからここまで、およそ半年程度かかるのが一般的です。裁判所という権力を後ろ盾に手続きを進めることができるのは、法的整理の大きなメリットでしょう。

その他の民事再生の特徴

次は、先ほど述べきれなかった、その他の民事再生法の特徴(従業員への影響・申し立て・税金・事業の可能性)について少し扱っていきます。

従業員への影響

民事再生手続きは、従業員の雇用に直ちに影響がでるものではなく、未払いの賃金や退職金も優先的に支払いを受けることができます。しかし、再生計画がリストラを含むこともありますし、再生手続きが経営に悪影響を及ぼすこともあるでしょう。それでも、破産手続きという道を選べば、従業員は全て解雇されますから、雇用の確保という意味では、民事再生の方にメリットがあるでしょう。そして、なにより、事業を立て直していくには優秀な人材が必要です。また、再生計画においては、給与や賞与のカットを従業員にお願いすることもあるため、従業員としっかりコミュニケーションをとり、従業員からの協力を得ながら、再生計画をすすめていくことが重要になります。

申し立ての公表

民事再生の申し立ては公告され、官報や新聞などによって広く知られることになります。これによって、会社の信用が損なわれることは避けられず、経営への影響は避けられないでしょう。このデメリットを踏まえた上での、運転資金の確保、ときにはスポンサーの協力が必要になります。民事再生手続きのように、申し立ての事実が公表されるのは、会社更生法などほかの法的整理でも同様です。この点、私的整理では、手続きを公にする必要がなく、風評による経営の悪化や連鎖倒産などを防ぐことができます。

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税金問題

法人税、住民税、消費税、固定資産税などの税金は、従業員の給与や賞与、退職金と同様、優先的に支払いをする債権です。再生手続きによってカットされたり、猶予されたりすることはなく、その都度、支払う必要があります。税金の滞納があれば、再生計画にも影響が出るかもしれません。また再生計画が実行に移った場合、債務のカットされた部分が利益として捉えられ、税金が課されることにもなります。こうした税金への対策には専門的な知識が必要です。顧問の税理士さんなどに相談して対応しましょう。

事業の可能性

再生計画は、事業の再生が可能なのかという点がもっとも重要です。経営悪化の原因を突き止め、それを解決することができるのか、そして、立て直した事業は、債務の返済を続けられるほどの利益を生むことができるのか。そして、もし、その可能性が見いだせないのであれば、清算手続きへの移行を余儀なくされるかもしれません。民事再生手続きは経営の悪化が進む前に申し立てることができます。資金繰りの問題もありますので、なるべく早い段階で申し立てをした方が、再生計画の可能性も広がるでしょう。

まとめ

ここまで、民事再生について見てきましたが、いかがだったでしょうか?

「法的整理の中の再生型手続き」の一つである、民事再生の流れは、「①裁判所への申し立て及び保全処分命令」・「②再生計画案の作成」・「③債権者集会、再生計画案の決議」・「④再生計画の実行」であり、再生計画の実行に向けて、債権者集会や裁判所の承認が必要になっていました。また、未払いの賃金や退職金も優先的に支払いを受けることができる一方で、税金などの債権には支払い義務や申し立ての公表による会社のイメージ悪化などは免れることはできないということにも留意する必要がありました。

会社を終わらせるにあたって、いずれの手続きをとるのかについては、裁判所への予納金や専門家への費用などの諸経費の問題に加え、複雑な税金の問題も考えなくてはいけません。また、手続きがすべて終了するまでの時間も手続きごとにさまざまですし、従業員の雇用の問題など労働法務上の問題に目を配ることも大切でしょう。

どの手続きが、自分の会社の終わりには最適なのか、専門家のアドバイスを受けながら、こうした複雑な問題も考慮に入れて考えることが大切です。お悩みの際是非、下記のリンクより、お気軽にご相談ください。


記事監修

三戸政和(Maksazu Mito)

2005年ソフトバンク・インベストメント入社。兵庫県議会議員を経て、2016年日本創生投資を投資予算30億円で創設し、中小企業に対する事業再生・事業承継に関するバイアウト投資を行う。


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