資本家マインドセット(著:三戸政和) WEB版 vol.6

資本家の思考方法や行動原則、いわゆる「資本家マインドセット」を今だけ無料で公開。今回はその第6弾です。

6-1 他人の時間を生きない

「忙しい」とボヤいている人ほど、「他人の時間」を生きているものです。自分は忙しいと感じている人は、スケジュールをチェックしてみてください。ほとんどのスケジュールが他人の都合で決まったものではないでしょうか。

私は、仕事であれ遊びであれ、「これだ」と思うものがあったら、いつでも行けるようにしたいので、スケジュールをなるべく他人の都合で埋めないようにしています。

組織に雇われている人は、仕事で拘束される時間が長いですから、自分の人生のかなりの部分が、他人の都合で決められてしまいます。「他人の時間を生きない」のは、自分のスケジュールを自分で決められる資本家だからできること。そう考える人もいるでしょうが、そんなふうにして、この行動原則を、自分とは関係ないものと捉えないでほしいと思います。

私が皆さんに問いかけているのは、自分のスケジュール帳、つまり自分の人生の時間が、他人の都合で埋められている人生でいいのか、改めて考えてほしい、ということです。

資本家である私には、やりたいことをして、食べたいものを食べ、会いたい人と過ごす時間があります。「自分の時間を生きる」とはそういうことです。

自分の時間を生きている私が、忙しいかというと、まったく忙しくありません。私は、ほとんどの仕事を仕組み化して、他人に丸投げしているので、仕事に費やしている時間は、週に10時間くらいでしょう。ときどき「こんなに仕事しないで大丈夫かな」と心配になるくらいです。それでも、もし孫正義さんが私のファンドを運営しているとしたら、こんな小さなニワトリに掛ける時間は、週に5分くらいじゃないかと思います。週に10時間も使っている私はまだまだで、もっと仕事の仕組み化、効率化を進めなければと思っています。

6-2 スーツも名刺もいらない

スーツを脱いで、Tシャツ&ジーパン姿になったとしても、あなたは自分の名前でオファーが来るようなビジネスマンでしょうか。

スーツを着ないと信用されない。取引先からは会社名で呼ばれる。そんなサラリーマンは結局、会社に隷属した歯車でしかありません。人工知能(AI)が、あらゆるビジネスシーンに組み込まれ始めているいま、歯車的な仕事は、どんどんAIに取って代わられていきます。これからの会社にとって必要なのは、新しい価値をもたらす人材です。つまり、スーツを着なくても、どんな服装をしていても、信頼され、その人の名前でオファーが来るような人たちです。

私自身は、「三戸さんの会社、なんて名前でしたっけ」とはよく聞かれますが、私とつながる人が、「日本創生投資(私の会社の名前です)の社長ってだれだっけ」ということはまずありません。私が社名も肩書きも関係なく、個人で認識されているからです。

「三戸」という看板で仕事を始めてから、仕事相手も個人を評価して選ぶようになりました。個人としてつながると、その人が所属する会社名も肩書きもどうでもよくなります。ですから私にとって、もはや名刺には意味がありません。名刺をもらってすぐ捨てるのも申し訳ありませんから、基本的に名刺は受け取らないようにしています。いまはFacebookなどのSNSを使って、個人名でつながることは簡単です。もし名刺を受け取らなかったために、その人とつながることができなくなったとしたら、その人とは縁がなかったとあきらめる。そんなふうにして生きています。

6-3 定時出社は必要か

私はたいてい、毎朝9時頃に起床して、そのままベッドで1時間くらい掛けて、メールやメッセージの処理をします。サラリーマン時代なら、6時半に起きて満員電車に揺られて8時頃出社し、10時半くらいまでに済ませていた仕事の内容です。

いまの生活をするようになって、サラリーマンにとって、果たして定時出社は必要なのか、と疑問を持つようになりました。アウトプットは同じなのに、ベッドなら1時間、出社する場合は4時間掛かりますから、生産効率は4分の1になります。ベッドにいるまま4倍の効率でこなせる仕事のために、わざわざ会社まで行く必要性はどこにあるのでしょうか。

もちろん、生産現場の話は別ですし、ホワイトカラーにおいても出社してすべき仕事はあります。ですが、ホワイトカラーの社員全員が、毎朝同じ時間に出社することは、メンバーシップを高めるため、みんながそうしているから、程度の理由に過ぎず、そこに合理性はないと思います。

新型コロナウィルスのパンデミックは、これまで当たり前と思っていたことが当たり前ではないことを気づかせる経験となりました。出社することも、人と会って商談をすることも、これまで当たり前と思っていましたが、それらが本当に必要なことなのか、改めて考えてみた人も少なくないと思います。

ワクチン接種の広がりによって、パンデミックの収束が見えつつあるいま、多くの人たちが、また元の生活に戻れると、期待を膨らませているように見えます。しかし、もしみんなが、コロナ禍で抱いた疑問をすっかり忘れて、元に戻ろうとしているとしたら、それは良いことなのでしょうか。

もちろん、サラリーマンには就業規則があるので、自分だけ定時出社をしないわけにはいかないでしょう。しかし、パンデミックを経験した私たちは、これまでの働き方がいかに非効率で、自分の時間を奪うものであったかを知り、働くことの本質とこれまで見過ごしてきた多くのムダにも気づいたはずです。それらをなかったことにして、パンデミック前の働き方に戻るのは、正しい姿勢とはいえません。

私には、パンデミック前と同じ働き方を継続する会社が、今後も生き残っていけるとは思えません。社員それぞれにとっても、これまでの働き方を当たり前と思考停止して、そのまま変えずにいることは、自らの首を絞めることになると思います。

あなたはこれから、どんな働き方をしていきたいですか。

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記事監修

三戸政和(Maksazu Mito)

2005年ソフトバンク・インベストメント入社。兵庫県議会議員を経て、2016年日本創生投資を投資予算30億円で創設し、中小企業に対する事業再生・事業承継に関するバイアウト投資を行う。


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