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共同買収によって服飾雑貨事業をM&Aした話②

人物紹介

今回のコラムでは、「サラリーマンが300万円で小さな会社を買う」サロンメンバーの2人が共同買収した事例の後編を紹介します。

前編はこちらからご覧いただけます

彼らは、三戸さんの本を読んでから2ヶ月ぐらいで会社を辞めてサロンに入り、この共同買収を行いました。サイトが勧めるM&Aの形は、基本的にはひとりで100%の株を保有してオーナーシップを取ろうというものです。今回は共同買収で、サイトの勧める形とは違うものになりましたが、個人がM&Aをしたという観点では同じです。

彼らが一体どのような経緯でM&Aしてきたのかを今回は、メンバーの一人(Dさんとします)が語ってくれたので、それを見ていきたいと思います。

DさんのM&A後の経営戦略

(*急に、事例紹介の続きが始まりますので、是非前編をご覧になってからお越しください)

⑥PMI-2

(Dさん)

事業計画の2つ目として、「SNSでのPRのテコ入れをしつつ、オンラインサイトへの導線を再整備して売上アップを図ろう」という計画を立てました。こちらの結果は、さっきのに対して手応えが得られるものとなりましたね。インスタグラムの広告を出したことでフォロワーがほぼ倍増しました。計算してみると、これまでの4年間でついたフォロワーと同じ数が、2か月ほどで増えたことになっていました。同様に売上も、譲渡前のネットでの売上は月に数万円でしたが、〇万円の広告を打ったら、売上はそれまでの5倍増、その翌月はさらに広告費を増やして、さらに売上がほぼ倍増と、うまくいっています。

これは今後の展望についての話になりますが、アフィリエイト広告なども検討しています。さらに、オンライン販売ではアウトレット商品の販売やセット売りなどコンテンツも充実させていきたいと思っています。

さらに、事業計画の3つ目として、販売ルートを広げるため、セレクトショップなどでの委託販売を増やしていきたいとも考えています。

この事業では、これまでは催事でしか販売はしてきませんでしたが、インスタでのフォロワーが増えたことで、いろいろなところから声が掛かるようになりました。今後、セレクトショップや有名百貨店などで委託販売が始まる予定なんです。委託販売は人件費が掛からないので、委託販売が増えれば、経営は安定するでしょうし、今後さらに委託販売先を増やしていくために、業者向けのカタログを作り、サンプルと一緒に、百貨店やセレクトショップなどに送りつけようとも思っています。

Dさん自身の反省点

最後に、Dさん自身に今回の学びと次に向けてを少しお話ししてもらいました。

(Dさん)

反省点は、譲渡額をもっと下げられた要因が譲渡後に次々と見つかったことですかね。

その1つ目が譲渡後にすぐにセールが行われていたことです。DDの時点では、基本的にセールは行う予定はないし、行ったこともないという話でしたが、譲渡後の翌月にいきなり全面セールが行われて利益が半減するということがありました。これには正直驚きましたね。

2点目が余剰在庫が想定より多かったということです。DD の時点では余剰在庫はないという話で、一応、在庫も見てはいましたが、ここの商品は全て1点モノなので、どれが売れてどれが売れないかがわかりづらかったんです。在庫の中にずっと売れ残っているものがないか、余剰在庫になっていないかをもっと徹底して確認すべきでした。

3つ目が残業代が未払いで営業利益が水増しされていたということです。DDでタイムカードや給料の支払い明細を全部見ていましたが、あとから社員に聞いたら、タイムカード以上に働いているし、その残業代は支払われていないということになっていました。もう単純に「マジか」と思いました。残業代を払っていないということは、その分、営業利益が水増しされていたということになりますからね。

これらの3つについてDDの際に確認できていればもっと譲渡額を下げることができでした。まあ、要するにDDが甘かったということであり、反省すべき点でした。

加えて、苦労したのが社員のコントロールでした。1人いた正社員とのコミュニケーションにはとにかく苦労しました。この社員の方は、何をするにしてもこちらの意見にはすべて反対で、言いたいことがあれば、夜中であろうが関係なく、長文のラインを送ってきました。とくに若いHさんが狙われて結構大変そうにしてました。パートの方々とはかなりコミュニケーションが取れたほうだとは思いますが、この社員の方とはコミュニケーションがうまく取れないままで、結局、自ら退職ということになってしまいました。

Dさんへのインタビュー

(質問1)2人の出資比率と、足りなかった分の資金の調達先は?

(Dさん)Hさんの出資できる額は決まっていたので、残りは全部私が集めました。私は自分のお金と足りない部分は親から借金をしましたね。私とHさんの出資比率は9対1ぐらいでしょうか。

(質問2)オーナーの譲渡希望価格がかなり高額だと思ったが、最終的な価格はどう決定したのか?

(Dさん)当然、最初の売り手の譲渡希望価格よりは大きく下がって買収しています。価格の決め方は最初の段階では公認会計士の方がいたので、その方の知識を借りつつ、サロンの勉強会で得た情報を照らし合わせて、価格を算出しました。簡単にいえば、営業利益掛ける3~5年という公式を使って数字を出し、それに在庫分の価値を足してというように、基本に忠実に算定して、公認会計士の方の意見を聞いて修正していったという感じですかね。

(質問3)反対していた社員は最初からかなり対決姿勢だったと思うが、もっと早めに辞めさせるような方向はなかったか?

(Dさん)正社員を辞めさせるのはほぼ無理だと思っていました。とにかく社員は争いたいんだろうなと思ったので、こちらとしては暖簾に腕押し状態にして、もうのらりくらりとかわしていたら、あっちから辞めるということになりました。アドバイスみたいになりますが、会社を買った後のファーストコンタクトには気を付けてほしいです。古くからやっている正社員と新参者で入ってくる新オーナーは、どちらが上でどちらが下ということはなく、どちらかというと、新しく入った社長、オーナーが下になった方がいい。やはり下から下からいかないとダメだと思います。

(質問4)今回は事業譲渡という方法以外に選択肢はなかったのか?なにか問題は起きなかったか?

(Dさん)売り手オーナーは自分の会社で新しい事業を始めていたので、この事業については事業譲渡で売買するというのは最初から決まっていました。事業の引き継ぎ、工場や販売先の引き継ぎについては比較的スムーズで、とくに問題はなかったと自分では思っています。

(質問5)共同出資のメリットとして何が挙げられるのか

(Dさん)共同出資のメリットを挙げると、まず1つ目は「①足りない資金や能力を補える」という点ですかね。資金については最終的に2人になったので補えたとは言い切れませんでしたが、途中まではできていたといえますかね。能力を補えるという意味では、当初入っていたメンバーの1人が公認会計士だったので大きな戦力になりました。その方が作った操業計画書はすごくしっかりしたもので、事業譲渡後の借入を行う際の資料としてとても役に立ちました。金融公庫の人には「ここまで作り込まれたのはなかなかない、この資料だけで融資いけちゃいますね」と言われるぐらいでした(笑)

メリットの2つ目は「②一緒の目的を目指す仲間ができる」というものですかね。やはり1人だと最初の一歩がまず踏み出せないし、途中でつまずいたときも「もういいかな」となりがちだと思います。ですが仲間がいると、それをみんなで乗り越えられるというメリットがあると思います。また、「③譲渡後の人的資源が確保できる」というメリットもあると思います。集まったメンバーで、経理や営業などのそれぞれ得意なところを分担できるということですね。

(質問6)逆にデメリットは何が挙げられるのか

(Dさん)共同出資のデメリットとしては、まず「①会社への貢献度の判断基準が難しい」ということがあります。それぞれがなした仕事をどういう基準でだれが評価すればいいかがなかなか決められないと、結局、曖昧なままになってしまいます。これが曖昧なままだと、いずれ揉めることはわかっていますが、だれがどうやって判断していいかわからず、、、って感じで、ここはかなり最初の段階で躓きました。最終的には2人になったので、簡単に「出資割合で決める」となって落ち着きましたが、4人いた状態では全然、話がまとりませんでした。

「②意思決定や役割の分担の明確化が難しい」というデメリットもありますかね。最終的には2人となったので、いまは、WEB関係のオンラインで完結する部分はHさん、残りの実務、経理や総務は私の担当ということになってますが、4人いたら果たしてどうなっていたか(笑) またメンバーによって「③事業に取り組む熱量が違う」というデメリットもあります。私はもう仕事を辞めているので、この事業をしっかりやっていこうという熱量が冷めることはありませんでしたが、Hさんも含めほかの人はそれまでの仕事を続けながらということでしたので、結構、熱量に差が出てしまうんじゃないかなという懸念はありました。

(質問7)この買収劇の総括は?

(Dさん)それはもう、ホント、起こることすべてが勉強になるので、買ってみてよかったと思っています。今回の事業譲渡をいかして、先月発表した別の案件もかなり納得のいく値段で買うこともできました。これからもっと勉強して頑張っていきたいと思っています。

以上のようにDさんの体験談を見ていきましたが、いかがだったでしょうか?

このように、これからもいくつか実際に会社を買った人の体験談やインタビューコラムを増やしていきたいと思うので、チェックお願いします。


記事監修

三戸政和(Maksazu Mito)

2005年ソフトバンク・インベストメント入社。兵庫県議会議員を経て、2016年日本創生投資を投資予算30億円で創設し、中小企業に対する事業再生・事業承継に関するバイアウト投資を行う。


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