資本家マインドセット(著:三戸政和) WEB版 vol.4

資本家の思考方法や行動原則、いわゆる「資本家マインドセット」を今だけ無料で公開。今回はその第4弾です。

このコラムから、資本家になるためのヒントとして、資本家はどんな思考方法を持っているのか、どんな原則で行動しているのか、いわゆる「資本家マインドセット」について本格的にお話ししていきたいと思います。

資本家マインドセットを知ることは、サラリーマンという立場にあっても、いまの資本主義社会で、充実して生きていくためには非常に役立つと思います。ぜひ、私のお話しする資本家マインドセットをヒントに、日々の行動、仕事のパフォーマンスを上げてほしいと思います。

4-1 資本家マインドセットの根本原則とは

私の考える資本家マインドセットには根本原則があります。これまで何度か言及していますが、「好きなことを、好きな人と、好きなようにやる」というのがその根本原則です。

この言葉は私のオリジナルではありません。TSUTAYAを運営するカルチュア・コンビニエンス・クラブを創業した増田宗昭さんが言った言葉です。

私はこの言葉を聞いたとき、とても心を揺さぶられ、そんな生き方をしたい、それができる人生を歩もうと決めました。そして、その根本原則を全うするために選んだのが、資本家という生き方でした。

ですから、私が資本家を定義づけるとしたら、「好きなことを、好きな人と、好きなようにやる人」というものになります。

世間では、資本家にはあまりいいイメージがないかもしれません。マルクスに依れば「労働者から搾取する」イメージですし、ブラック企業の経営者というイメージを持つ人もいるでしょう。

経営者の中には、そんな負のイメージそのままの人も存在しますが、私にとっての資本家は、自分のやりたいことのために、お金も時間も注ぎ込んで、さまざまな困難に直面しながらも楽しそうに生きている人たちです。ですから私は、「好きなことを、好きな人と、好きなようにやる人」という私の考える資本家の定義を、もっと知らしめて、世間のあまりよくない資本家イメージを上書きしたいと思っています。

4-2 資本家とはタイムリッチな人

「好きなことを、好きな人と、好きなようにやる」ために大事なことは、「自分の時間を生きる」ことです。時間はどんな人にとっても平等に1日24時間しかありません。「自分の時間」とは、有限な、何よりも大事なリソースです。

資本家は、その貴重なリソースを自分でコントロールし、最大限に活用しています。お金を持っている「リッチ」ではなく、時間を最大限に活用している「タイムリッチ」な人が、資本家なのです。

ですから、資本家たちは共通して、最短の時間で最大限の効果を上げる方法を、24時間、常に考えて、実践しています。

私の例でいえば、私はほとんどの仕事をスマホで済ますようにしていますが、それは椅子に座って、パソコンを開いて電源を入れて、パソコンが立ち上がるのを待つ時間がもったいないからです。

ホリエモンこと堀江貴文さんがキックボクシングを始めたのもその一例で、トレーニングの時間効率を上げるためです。私の体感では、キックボクシングはランニングの10倍はトレーニング効率が高いと思います。

堀江さんは、講演会の終了後に行われる写真撮影のサービスも、仕組み化しようとしています。超精密なお面を作って、それを秘書がかぶることで対応させようとしているのです。堀江さんは、歯磨きをする時間ももったいないとして、一瞬で歯を磨ける器具を試したりしています。いずれも実現すれば面白いですね。こうした堀江さんの発想はまさに資本家マインドセットの見本です。

自分の身体と時間以外のリソースである、カネやヒトやモノは増やすことができます。しかし、自分の身体と1日24時間という時間は絶対に増やせません。ですから資本家は、時間の使い方に細部まで気を使いますし、タイムリッチになることをなにより意識しています。ひたすらムダな時間を排除して効率化を図ることが資本家の生命線であり、それができない人は、成功することはないでしょうし、資本家の名に値しないと思います。

4-3 お金はツール

資本家と資産家は違います。資産家はお金を儲けたら、それを貯め込むことでお金を作って、生活する人たちです。お金を守ることで生きるスタイルですね。

他方、資本家は、ある事業でお金を儲けたら、それを貯め込むことなく、次の事業にどんどんつぎ込んで、自分のやりたいことを実現する人たちです。

「お金は爪切り」だといったのは堀江貴文さんですが、その心は、お金とはそもそも爪切りと同じツールに過ぎないということです。お金はたくさんあれば、それだけで幸せになれるものではありません。事実、数百億円の資産を持っていても、全然、幸せそうに見えない人が、私の回りにもたくさんいます。お金は、自分なりの幸せを手に入れるために使われなければ、その意味はないのです。

資本家にとっての幸せは、やりたいことを実現することです。ですから資本家は、やりたいことをするためにはお金をどんどん使います。それは私生活も同じで、やりたいこと、好きなことにはどんどんお金をつぎ込んでいきます。私自身、それなりのお金を稼いでいますが、どんどんお金を使うので、いまも貯金がありません。

つまり、資本家とは、お金を持っている人を指すのではなく、自分の好きなことにお金をどんどん使う人を指すのです。

サラリーマンでありながら、自分のための学びや趣味など、好きなことにはお金や時間を惜しまずに使い、貯金が全然ないという人は、資本家マインドセットを持っているといえます。その方向性をビジネスに少し振り向ければ、立派な資本家になれるかもしれません。

ここは強調したいところですが、私は「資本家になってお金持ちになろう」という意味で、「会社を買って資本家になろう」と呼び掛けているわけではありません。資本家になれば、結果的にはお金持ちになれる可能性が高くなりますが、資本家にとって、お金は使ってナンボのもので、手元に残しておくものではありません。お金を儲けたら、貯め込んで全然使わない。そんな人は資本家ではないのです。

私の言う資本家とは、自分の時間を自分でコントロールし、好きなことを好きな人と好きなようにやるためには、お金を惜しみなく注ぎ込める人たちです。そんなマインドセットを持つ人が資本家といえるのです。続いてのコラムでも、資本家マインドセットを身に付けるためのヒントをお教えします。

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記事監修

三戸政和(Maksazu Mito)

2005年ソフトバンク・インベストメント入社。兵庫県議会議員を経て、2016年日本創生投資を投資予算30億円で創設し、中小企業に対する事業再生・事業承継に関するバイアウト投資を行う。


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