スモールM&Aの実行フェーズでやることとは?

本格的デューデリジェンスの開始

このコラムから、解説はいよいよM&Aの実行フェーズに入ります。まずは実行フェーズの流れを見ておきましょう。

実行フェーズでは、本格的なデューデリジェンスを行って、その会社の実態を把握します。実際の作業としては、会社に出向いて、財務書類や取引書類を見せてもらったり、現場を確認したり、オーナーや幹部、従業員などから話を聞いたりします。弁護士や公認会計士などの専門家に、デューデリをお願いする場面も出てくるでしょう。

デューデリは情報収集にも分析にも、お金も人手も時間もかかります。買い手としては、コストをかけてやっていくところですので、基本合意契約ではなるべく独占交渉権を取っておいた方がいいというのは、すでに話した通りです。

事業計画作り

そして、デューデリジェンスで得た情報をもとに、買収後、どんな経営をするかを事業計画としてまとめます。会社の経営をどう改善するのか、買い手の持つスキルをどう生かすのか、どんな会社にしていきたいかを計画として形にします。買った後の経営を見据えた事業計画の方がその実効性は担保されますし、将来的な売却まで見据えたものであれば、尚良いでしょう。

買収価格の決定と資金調達

事業計画を作ったら、基本合意契約ではレンジで示していた買収価格を確定させます。会社の値段を算出する方法はいくつかありますので、それらで出した数字を比べながら、その会社の実態に合う買収価格を出しましょう。同時に資金調達も進めなくてはなりません。

その上で、価格と売買条件について売り手側と交渉をし、合意ができれば、最終合意契約書にまとめます。最後に契約書の捺印とお金の支払いをしてM&Aは成立、という段取りになります。

以上が実行フェーズの流れです。その詳しい解説に入る前に、次のコラムでは、デューデリジェンスとはなんぞや、という話をします。


記事監修

三戸政和(Maksazu Mito)

2005年ソフトバンク・インベストメント入社。兵庫県議会議員を経て、2016年日本創生投資を投資予算30億円で創設し、中小企業に対する事業再生・事業承継に関するバイアウト投資を行う。



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