長野県のM&A・事業承継の実態を解説。M&Aの手順や成功事例を紹介。

全国第4位の広さを誇る県土を有する長野県。この記事では、長野県におけるM&Aや事業承継の実態を、抱える問題やM&A件数などをご紹介しながら解説していきます。

長野県のM&A・事業承継の実態

長野県のM&A

株式会社レコフによると、2020年における長野県のM&Aの件数は41件と言われています。そのうち、買手と売手が両方長野県内なのは7件、買手が長野県内、売手が長野県外なのは12件(その中でも3件は海外)、買手が長野県外、売手が長野県内なのは22件でした。

参考:株式会社レコフ「長野県のM&A情勢」

長野県の事業承継

長野県の事業承継の実態として、後継者不足が挙げられます。M&A総合研究所によると、後継者が不在な企業は、全体の3分の2近くあります。そのうち、経営者が60代の企業で後継者が不在という企業は51.7%、70代の企業は38.3%であり、問題は深刻です。

事業承継の準備を進めたくても、後継者がいなくて進められない企業が多いのが現状です。また、帝国データバンクによると、長野県の後継者不在率は全国で22番目であり、全国的に見て平均値にあります。

参考:M&A総合研究所

長野県の主な会社

ジョブズゴーによると、2022年6月において長野県に上場企業は33社あります。長野県に本店がある企業も含めると35社に上り、全国的に見ても13位と多くなっています。その中にはキノコで有名なホクト株式会社や、ホームセンターとして知られる綿半ホールディングス株式会社、キッセイ薬品工業株式会社などがあります。

参考:ジョブズゴー

長野県でM&Aを行うには?

M&Aの計画を立てる

まずは計画を立てるなどの事前準備が必要不可欠です。M&Aをする目的やどのような条件を希望するのか考える必要があります。また、買手や売手両方のために、企業価値を向上させる必要があります。企業価値が上がれば買手がつきやすくなりますし、売手側も良い条件で買収してもらえる可能性が高まるからです。

企業価値を測るには規模や収益力、企業ごとのビジネスモデルによって異なるため、専門的な知識が必要不可欠です。そのため、M&A仲介会社や専門家のアドバイスが必要となります。

M&Aに向けて準備をする

次にM&Aに向けて仲介会社や専門家に依頼する必要があります。M&A仲介会社に相談する上で重要なことは3つあります。

① 秘密保持契約の締結

M&Aを考えていることや交渉を行っているという情報を漏らさないようにするための契約です。これは、もしM&Aを検討していることが良い時期に公開されなかった場合、従業員が辞めてしまうリスクがあったり、自社の株価が落ちたりするなどの悪影響が起こる可能性があるためです。

② アドバイザリー契約の締結

アドバイザリーとは、M&Aの専門家のことです。この契約を結んだ以降はずっとサポートを受けることが出来ます。

③ 自社の情報や資料を提出すること

この情報や資料を基にアドバイザリーはM&A先を決めていきます。経営が上手くいっていないなど、公開したくない情報があるかもしれませんがここはしっかりと漏らさずに提出しましょう。

次に企業価値の評価をします。これは専門家であるアドバイザリーに相談し、自社の価値に見合った売却価格を決定します。売却価格が決定したら企画概要書をまとめます。これは買手に提出するためのものです。自社の現在の状況を記載します。

M&Aの交渉をする

買手と売手のトップである経営者が面談をします。そこでお互いM&Aの意向がマッチすれば、買手が売手に意向表明書をアドバイザリーに提示します。これは義務ではありませんが、意向表明書を示すことにより、M&Aの交渉が進めやすくなります。

その後、買手が売手企業への企業監査を行います。M&A後に、経営が厳しいのを知らずに経営できなくなってしまった、などのトラブルを回避するためにも、企業監査は専門家に頼み入念に行われます。監査で問題がなければ、最終的な売却費用などを決定します。M&A後の自社の従業員への待遇なども、ここで希望が通るように専門家を通してしっかりと決めることが必要です。

M&Aの契約を結ぶ

交渉成立後、最終的な契約を結びます。最終契約を結んだ後、クロージングと呼ばれる人や物、お金を移動させる作業に移ります。ここでも混乱が起きないよう、クロージングについて細かく計画しておく必要があります。

長野県におけるM&Aの仲介会社

次に、長野県におけるM&Aの仲介会社を3つ紹介します。M&Aにおいて仲介会社を選ぶことはとても重要なので、あなたにあった仲介会社を選ぶ必要があります。

長野県M&Aセンター

長野県M&Aセンターの魅力は専門家のネットワークと連携していることです。税理士をはじめ社会保険労務士、司法書士、弁護士などの支援を受けられます。長野県内だけではなく全国にも幅広いネットワークを持っているため、マッチングの幅が広がります。

M&Aが終わったあとも経営などについてアフターフォローを受けることが出来ます。2016年2月から2022年3月にかけて、37件もの実績がある仲介会社です。

参考:長野県M&Aセンター

未来経営

未来経営は長野県松本市にある会計事務所です。未来経営は顧客から99%継続利用されており、信頼が厚いです。また、公認会計士をはじめ、税理士、社会保険労務士、行政書士、抽象記号診断士、医業経営コンサルタント、CFPなど各専門家が揃っています。

未来経営のM&Aに対する考えとして、「企業が気づいていない魅力を見出す」というものがあります。自社の魅力を最大限に引き出してもらえれば、M&Aがスムーズに運び、選択肢も広がります。また、M&Aシニアエキスパート資格を持った人が3名在籍し、M&A成立後の顧客からの満足度も高いことが特徴です。

株式会社マネジメントアシスト

株式会社マネジメントアシストは長野県松本市にある、中小企業の経営戦略立案・実行支援をしたり、事業承継支援などのサービスを行っている企業です。代表取締役である矢島氏自身がM&Aシニアエキスパートの資格を持っています。事業承継では、次の経営者が円滑に引き継ぐようプランニングをしたり、事業承継後もフォローをしたりしています。

参考:株式会社マネジメントアシスト

長野県におけるM&Aの事例

実際に、長野県内で行われたM&Aの事例を紹介します。

マーケティング会社が長野県の医療機器などの製造・販売会社を買収

東京都にある株式会社リベルタが、長野県の医療機器、浄水器、生活雑貨、除菌装置などを製造・販売しているファミリー・サービス・エイコーの株を86.8%取得し、子会社化しました。リベルタは化粧品などを企画・開発していますが、取り扱うもののジャンルを増やし、国内だけではなく海外への販売も拡大していく計画です。

長野県の運送・小売業の会社が、長野県のタクシー業者を買収

長野県松本市にある、運送業・小売業を営むアルピコホールディングス株式会社が、同じく松本市にあるタクシー業を営む松本タクシーを全株式取得することにより子会社化しました。アルピコホールディングス株式会社の傘下にはアルピコタクシーがあるため、利用者にとってより円滑な配車提供を目指しています。

長野県のM&A・事業承継のまとめ

長野県には地域密着型のM&A仲介会社があるため、M&Aを行いたいがどうしていいかわからないという経営者の人にとっても安心です。また、後継者不在による事業承継に悩んでいる経営者の方にとっても、仲介会社や連携する専門家のアドバイスをもらうことで、問題が解消できます。自身の会社に合った仲介会社を選び、より良いM&Aや事業承継を目指しましょう。

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