動物病院のM&Aメリット・デメリットについて徹底解説!買収の相場や継承のポイント・仲介業者の選び方

近年動物病院ではM&Aをする企業が増えていることをご存知でしょうか?その理由は主に新患率の低下・経営不振・後継者不足・他社との差別化を図るためなど様々です。これまでにも動物病院の業界でM&Aは行われていましたが、以前は売買価格の根拠がなく仲介業者が一存で価格を決めていたり、曖昧な契約書によるトラブルが後を絶ちませんでした。

しかし今では過去の事例を基に売買価格を決定したり、成功報酬型にすることでトラブルは減り、M&A業界は年々増加傾向にあります。そしてM&Aが成立すれば「売り手」と「買い手」が共にWin-Winの関係を築くことができています。

そこで今回は動物病院がM&Aを行うメリットやデメリット、その他買収の相場や継承のポイント・仲介業者の選び方まで徹底解説します。特に動物病院の経営が上手くいかず廃業を検討している人に必見の内容ですのでぜひご一読ください。

動物病院の業界動向とは?

動物病院の業界とは、動物病院に向けて医療機器・薬・設備などを販売している企業や、ペットサロン、ペットホテルの中の病院も動物病院の業界に含まれます。

近年動物病院の数は増加しているにも関わらず、少子高齢化の影響で人口は減り、犬や猫の頭数も減っています。そして、何よりも地方では経営者の高齢化が深刻化しています。

こうした業界の動向を知ることで将来懸念されることに対して適切な対処を取ることができます。

今回は主に「動物病院の大幅な施設数増加」「ペットの多種化による医療技術の進化」「経営者の高齢化と若手の継承者不足」について詳しく紹介します。M&Aを検討するきっかけにもなるのでしっかりと把握しておきましょう。

動物病院の大幅な施設数増加

農林水産省の飼育動物診療施設の開設届出状況(診療施設数)によると、毎年診療施設数は増加傾向にあります。

直近で比較すると令和元年~令和2年で約1%、令和2年から令和3年で約2%増加しており、微増ながら右肩上がりに増えているので、今後ますます診療施設の数は増えていくことが予測できます。

施設数の増加傾向の理由としては、ペットに対する医療のニーズが高まったからと言えます。医療技術の向上によってペットの寿命が伸び、人並みの医療を施す飼い主が増加したため、それに伴い施設数も増加しています。また、新型コロナウィルスの感染拡大の影響によりペットを飼う人が増えたことも後押ししていると言えるでしょう。

ペットの多種化による医療技術の進化

注目すべき点は「先端医療」です。例えば再生医療のサービスではペット自身の細胞を体の外で培養し、元に戻すことで治療するといった医療も注目されています。このような先端医療の発達により、2021年の犬や猫の平均寿命は15.66歳、犬は14.65歳と過去最高になりました。

その一方で、ひと昔前なら治療ができないと言われていた糖尿病や腎臓病、ガンなどの病気が増加しており、その治療に関する臨床実験も進んでいます。

近年では犬や猫だけでなく、カメレオンやヘビといった爬虫類などの様々な種類のペットを飼う人が増え、動物病院もそれに対応しなければなりません。こういった状況によりさらに高度な医療技術が普及していると同時に、医療費の高額化も今後の課題となっています。

経営者の高齢化と若手の継承者不足

最も深刻なのが経営者の高齢化と若手の継承者不足です。他の一般的な業種と比較して、動物病院業界は事業継承ができないまま廃業になる割合が非常に高く、その原因は個人経営の動物病院が多く、跡継ぎが見つからないことにあります。

常に最前線で診療を行う1次診療の獣医師勤務が非常に過酷なのは言うまでもありません。少人数で対応するために無理なシフトをこなし、精神的・肉体的にも負担を強いられるので、最新のシステムを導入している安定した勤務が可能な中規模の動物病院へ高い技術を持った若手が流れてしまう恐れがあります。そのため、さらに個人経営の動物病院の後継者不足が浮き彫りになっています。

特に高齢化が加速する地方では後継者不足が深刻化しているので、M&Aを行う動物病院も年々増えています。

動物病院のM&Aのメリット

上述した通り、近年の動物病院の業界動向に注視しているとかなり深刻なことが分かります。特に地方にある個人経営の動物病院は、将来を見据えてM&Aを検討しておくと安心です。ひと昔前であれば、事業を継承することは一般的でしたが、現代社会では親族内で事業を継承するケースは減ってきています。

その理由としては、少子化が益々加速する中で、動物病院の将来も益々危惧される中、子供に同じような思いをさせたくないという思いから親族内の承継を避けるケースが増えています。

その結果、第三者や親族以外の従業員に承継されるケースが多くみられるようになりました。そこでこちらでは、M&Aのメリットについて「従業員の継続雇用」「獣医師の確保」「既存顧客の獲得」「開業コストの削減」の4つについてご紹介します。

従業員の継続雇用

M&Aを行うことで従業員を継続雇用することができます。一般的には獣医師の資格を持つ院長が経営者も兼ねている所が多いのですが、通常の企業なら特定の年齢でリタイアするものの、動物病院は地域の人からのニーズがあり続けるため、高齢になっても働き続けている経営者がほとんどです。

そのような状況の中で、後継者を見つけることができないまま突然他界してしまい、家族が廃業措置を行うケースが増えています。そうなると医療機器の処分などの費用がかかるため、手元に残るお金はほんの僅かとなります。さらに長年働いていた従業員も解雇しなくてはなりません。

M&Aなら医療機器をそのまま引継ぎ、従業員も継続雇用できるので大きなメリットといえます。

獣医師の確保

獣医師の仕事は、以下の様に多岐に渡ります。

  • 農協(畜産の診療)
  • 動物園
  • 製薬
  • 食品会社
  • 地方自治体(保健所など)
  • 検疫所

動物の飼育、診療、施術、衛生管理の指導等、まさに動物のために欠かせない存在です。獣医師になるためには獣医師の国家資格を取得する必要があり、そのために獣医系大学にも通う必要があります。

獣医師の社会的需要が益々増えていますが、獣医師の数は不足しています。その為、新たに獣医師を確保するとなると、多くの時間や手間、コストが掛かります。

M&Aなら獣医師もそのまま雇用することができます。さらに、買収した動物病院が特定のエリアに強かったり、高度な技術をもっている場合、さらなる事業強化を図ることもできます。

既存顧客の獲得

動物病院は地域に根差したものなので、簡単にかかりつけ医を変えることができません。そのため、新規参入してもなかなか新規顧客を獲得できないのが現状です。

また、いざ新規開業できたとしても、どの程度の患者さんが来るのか?将来患者さんの数は増えるのか?患者のニーズに合った診療ができるのか?など予測は非常に困難です。しかし、M&Aなら買い手は既存の動物病院を継承することで患者もそのまま獲得することができます。

さらに過去の患者の診断履歴や、ペットの頭数、売上のデータなどを引き継ぐことにより、より戦略的に事業を進めていくことができるので、M&Aは新規開業を目指す人にとって大きなメリットばかりと言えるでしょう。

開業コストの削減

新しく施設を作り、整備を整えるには膨大な費用がかかります。一般的には、3,000万円~4,500万円程の開業資金が必要と言われています。例えば、以下の通り、設備にかかる費用だけでも約600万円します。

参考:公益社団法人日本獣医学会
https://www.jsvetsci.jp/10_Q&A/Estimate2.pdf

自己資金としては開業資金の20%が必要とされ、頭金だけでもかなりの費用が掛かってしまいます。
ここからさらに掛かってくる費用としては診療エリアの調査、マーケティング費用や、広告やサイトでの宣伝、スタッフの募集など数えるときりがありません。

さらには施設の工事や設備の設置までに時間を費やすので開業のタイミングが遅れてしまいます。

M&Aを行えば新しく設備を導入する必要はなく、すでに設備や施設のある状態で開業できます。これは時間も費用も大幅に削減できるのですぐに開業したい人には大きな利点となります。

動物病院のM&Aのデメリット

冒頭でもお伝えしたように、M&Aが成立すれば「売り手」と「買い手」が共にWin-Winの関係を築くことができます。

一方は廃業を免れるだけでなく、後継者問題も解決、さらにはM&Aで発生する資金ももらうことができます。買い手側も開業コストを大幅に抑えることができるだけでなく、設備や従業員、患者まで引き継ぐことができるので、スムーズに事業を開始することができます。

しかし、これまでメリットについてご紹介しましたが、少なからずデメリットもあります。
ここでは「開業場所が変更できない」「多額の資金が必要になる」「経営方針の違いにより従業員が離れる可能性がある」の3つについて詳しくご紹介しますので、デメリットも踏まえた上でM&Aをご検討ください。

開業場所が変更できない

既存の動物病院はその地域にとって欠かせない存在のため、簡単に立地を変更することはできません。移転してしまうとこれまで抱えていた患者を全て手放すことになり、新たに新店のエリア調査やマーケティングを行わなければなりません。

その為、条件の合致する動物病院であったとしても場所が離れていたりすると通うことができず、現在の居住地から動物病院の側まで移り住まないといけません。

気に入った場所ならいいですが、そうでない場合妥協しなければいけないのはデメリットと言えます。そのため、事前にM&Aする動物病院の場所は把握しておくことをおすすめします。

多額の資金が必要になる

M&Aを行うことで施設や設備、従業員の雇用に対する費用は大幅に抑えることができ、工事に掛かる時間も短縮することができますが、M&A自体の費用が大きく掛かる可能性があります。

もちろん、動物病院の規模や価値によっても価格は大きく異なるため、一概に言えませんが、
想定していたよりも大幅に費用が掛かってしまうこともあるため、あらかじめ似たようなケースの事例を詳しく調べ、おおよその予算を把握しておきましょう。

会社買収後は、買収した会社のオーナー・経営者になるケースが多いのですが、トップが変わることで業績が急激に悪化したり、退職者が増えるリスクも当然あります。そうなってしまうと新たに従業員の募集も行わないといけないので、余分な資金が必要になる可能性もあります。

経営方針の違いにより従業員が離れる可能性がある

全ての動物病院には経営理念や経営方針があります。それらは基本的にM&Aと共に引き継がれることが多いですが、買い手側の経営理念と大きく異なる場合は、交渉が難航したり、うまくいったとしても従業員が離れてしまう可能性があります。

それぞれ違った理念があることは大切ですが、お互いが妥協点を見つけて進める必要があるでしょう。

また、前述したように会社のトップが変わることで従業員の指揮が下がり、退職者が出るリスクがあります。特に地域に根差した動物病院は人数が少ない分信頼関係が強いので、新たなオーナーを受け入れにくい傾向にあります。

そのため、日々の従業員に対するコミュニケーションやケアを怠らないようにしましょう。

動物病院のM&A相場算出方法

M&Aを行う際、最も気になるのは相場価格ではないでしょうか。地方の中小企業経営者にとっては、長年働いてきた場所であり、わが子の様に愛着があることがあります。そのことからM&Aでお金と引き換えに会社を手放してしまうことを躊躇する人も多いでしょう。

そしてせっかく手放すのであれば満足のいく価格で取引をしたいですよね。M&Aには相場価格を算出するための算出方法が様々あります。

今回は「市場基準方式」「DFC方式」「試算基準」についてご紹介します。事前に算出方法を把握しておくことでいざ手放す際の目安になったり、将来のM&Aのために今何を改善すべきかを把握する機会にもなるので、しっかりと勉強しておきましょう。

市場基準方式

市場基準方式は別名買収事例比較方式と呼ばれ、過去に行った買収事例における買収価格を参考に価格を算定する方法です。

これまで国内では上場企業から未上場企業に至るまで、企業成長のためや事業承継の手段として沢山のM&Aが行われており、様々なデータの蓄積があります。その膨大なデータの結果もとに、市場基準方式が誕生しました。

具体的な算定方法は以下の通りです。

  • 買収事例の買収価格倍率の平均を求める
  • 最も類似していると思われる過去の事例の買収価格倍率を参考にする

過去の買収案件における財務指標と買収価格の倍率を基準にし、買収価格を算定します。この市場基準方式で相場を把握することが一般的です。

メリットは過去の事例を基準にしているので説得力があることですが、類似の事例を探すのが難しいことや、数値の正確性が掴みにくいというデメリットもあります。

DCF方式

DCF(ディスカウンテッド・キャッシュ・フロー)法といいます。こちらは将来性を見据えてフリーキャッシュフローをベースにして割引きを行い、今の価値に換算する企業価値評価法の一つです。DCF方式のような、将来の利益から企業価値を計算する手法のことを「インカムアプローチ」といいます。

メリットは会社の現在の価値を出すのではなく、会社の将来性やのれん(営業権)まで評価してもらえることです。特にこれから発展していくベンチャー企業に向いている算出方法といえます。

一方将来に対する価値の算出なので、計算が複雑だったり、DCF法を使う専門家がそれぞれの判断で決まるというデメリットもあり、どうして自社の企業価値がこの価格になるのか、納得ができないケースもあります。

資産基準

医療機器や在庫など、一般的には現在の資産額で譲渡しますが、資産基準では価値の算定方法として、「年買法(年倍法)」が用いられます。年買方とは過去にでた利益に数年分の営業権を上乗せして算出するという方法です。

なお、加算対象となる利益の種類や年数は企業の業種や規模による収益の安定性によって異なります。

例えば飲食業界は2年後にも流行っている保証はないため、営業権も2年程しかつけられませんが、動物病院などの医療機関であれば安定して一定の利益予測ができるので、飲食業界よりも長期間の営業権を獲得することができます。

算出の方法により、企業価値の評価額は大きく変動しますが、その分売り手の希望を反映しやすいというメリットがあります。

動物病院のM&A継承ポイント

動物病院のM&Aは、取引価格が他の業種と比べてもかなり割安になるケースが多いと言われています。

その理由は色々ありますが、売り手側が動物病院の継承や存続を優先して考えてしまうため、交渉が上手くいかず、結局は取引価格が安くなってしまう傾向があります。

その他、経営者である獣医師が高齢であることや、日々の業務に追われてM&Aを早く済ませるために価格を安くして募集や交渉を行い、短時間で決めてしまうケースも多くみられます。

こうした事情から、動物病院業界のM&Aの相場は比較的安価ですが、少しでも高値になるようにできることもあります。
長年愛してきた動物病院を気持ちよく継承するため、以下のポイントはしっかりと押さえておきましょう。

最初にはっきりと売却金額や対象範囲を伝える

M&Aを行う企業は年々増加傾向にありますが、すべての会社が希望の条件を満たす企業をみつけられるとは限りません。

仮に、理想の企業が見つかったとしても自社に興味をしめさない限りM&Aが成立することはないため、希望条件にも優先順位をつけておくことをおすすめします。

希望条件や売却金額、対象範囲に対してあらかじめ順位をつけると、「絶対に譲れない条件」と「妥協できる条件」がわかりやすくなります。

万が一相手企業がみつからない場合は、妥協してもよいラインを少しずつ引き下げ、少しでも理想に近い相手企業を探していくことが重要です。

特に買収価格や売却価格については、ある程度は柔軟に変動させることが理想的で、自社の企業価値や買収のための資金を意識しながら理想の価格と最低限の価格を設定しておきましょう。

日々誠実に動物病院を運営する

M&Aにおいて企業の価値は取引価格に直結するため非常に重要な要素です。
社会的評価の向上にも繋がるため、企業価値をあげるために日々誠実に動物病院を運営するよう心掛けましょう。

具体的な方法としては、事業内容や投資効率の最適化、組織の見直しまで様々な点が挙げられます。
これらはM&Aに重要な資金調達にも十分役立つので、積極的に企業価値の向上に取り組まなければいけません。

また、M&Aを検討しているという事実が知れ渡ってしまうと、投資家や株主に対してネガティブな印象を与えてしまう可能性があります。したがって、M&Aに関する情報は徹底的に管理し、情報漏洩がないように十分注意しましょう。
従業員や株主にM&Aを告知するタイミングについても、状況を見ながら慎重に判断しましょう。

専門知識を持つ仲介業者に任せる

M&Aは一般的に交渉成立までに約数カ月~1年の長期間に渡ることが多々あります。
そのため、会計・法務・税務・事業面においても幅広い専門知識や経験をもった人をえらぶことが重要といえるでしょう。

また、専門知識を持った専門家でも、取り扱う案件の内容や規模によって必要な能力や営業のスタイルは全く異なるため、過去に似たような(動物病院業界)案件を取り扱ったことがあるか?その案件の担当者が今回も担当してくれるかどうか?を確認することが重要です。

気になる仲介業者を見つけた際には、各社のホームページで内容を確認したり、直接会社に問い合わせたりすることで、その仲介業者が自社のM&Aに適した会社かどうかを見極めるようにしましょう。

動物病院のM&A仲介業者の選び方

売却先を探すためには、商工会議所を利用する方法やM&Aのマッチングサイトを活用する方法など様々ありますが、ここでは仲介業者を見つけて売却先を探す方法を紹介します。

M&A仲介業者は譲渡側の希望を鑑みて、買い手になる企業に打診してくれます。面倒な書類の準備や取引企業との交渉まで、M&Aの成立するように手厚くサポートしてもらえるので、M&Aに関する知識がなくても安心して任せることができます。

しかしその分成約や成約に至るまでに膨大な手数料を取る仲介業者も多く、結局手元にあまりお金が残らないということもよくあります。

そこで仲介業者選びを失敗しないため「似たような案件での実績があるか?」「成功報酬型の仲介業者か?」「専門家が在籍しているか?」の具体的内容から正しい仲介業者の選びかたを解説します。

似たような案件での実績があるか?

M&Aにおいて最も重要なことは過去の事例を確認することです。
動物病院業界でのM&A仲介実績など、これから行う内容に近い事例があるかを調べることが必須です。

また、M&Aを取り扱う案件規模によって、仲介業者が保有する情報やM&Aアドバイザーが必要とする能力や営業のスタイルも異なり、M&Aの成否に直接影響を与えます。

そのため、どれほどの規模で案件を扱っているかを各社のサイトで確認を行いましょう。
M&Aは専門家によっても得意な業界と不得意な業界が存在しますので、動物病院業界に特化した仲介業者はまず最初にチェックしておくことが重要です。

さらには仲介業者だけでなく担当のアドバイザーの能力によっても結果に影響を及ぼします。
アドバイザーを選ぶ際には経験値や実績、人柄などは重要な判断材料となります。

成功報酬型の仲介業者か?

M&Aの料金体系の一つとして、完全成功報酬型というものがあります。
こちらは着手金や中間金といった手数料が一切掛からず、M&Aが成功して初めて手数料が発生する料金体系のことを言います。

M&Aが成立しなかった場合、手数料を支払わなくて済むため、完全成功報酬制を採用する企業が増えてきています。

完全成功報酬型の取引価格の相場は「レーマン方式」の料率を乗じた金額で算出します。

  • 5億円までの部分・・・5%
  • 5億円超~10億円までの部分・・・4%
  • 10億円超~50億円までの部分・・・3%
  • 50億円超~100億円までの部分・・・2%
  • 100億円超・・・1%

レーマン方式で用いられている成果配分方式は、レーマン博士というドイツの経営学者の学説を応用したもので、これにより資本比率と労働比率を明確にし、貢献度を明確に表しています。

専門家が在籍しているか?

専門家といっても実際には何でもできるアドバイザーはほとんど存在しません。
優秀なM&Aアドバイザーは以下のようなその道のエキスパートの力を借りてより品質の高いサービスを提供しています。

  • 公認会計士
  • 税理士
  • 弁護士
  • 司法書士
  • 行政書士
  • 社会保険労務士

これらの信頼できる資格を保有した専門家と手を組むことで、信頼できるサービスを提供しています。

驚くべきことに、M&Aの仲介業者になるために必要な資格はありません。また、許認可も一切必要ないので誰でも簡単に始められるのが実情です。

さらには最初に初期投資も必要ないので、一攫千金を目当てに気軽に始めてしまう素人が後を絶ちませんので、仲介業者は慎重に選ぶようにしましょう。

まとめ

今回は動物病院のM&Aメリット・デメリット、買収の相場や継承のポイント・仲介業者の選び方までをご紹介しました。M&Aをすることで「お金を貰って長年愛してきた動物病院を他の企業に売り渡す」といったネガティブなイメージをお持ちの方も多いかもしれません。

しかし、高齢化が進み継承者がなかなか見つからない昨今、会社の存続や従業員、さらには患者やペットを守る為、M&Aをして自社を存続させることの方が大きなメリットとなります。まずはM&Aの知識を正しく理解し、信頼できる仲介業者に任せれば必ずお互いに満足のいく成約を結ぶことができるでしょう。廃業を検討している動物病院はぜひ一度M&Aを検討してみてはいかがでしょうか。

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