スモールM&A専門家が勧めるおすすめビジネスモデルとは? 前編

ストック収入があるビジネスモデル

良い会社は良いビジネスモデルを持っています。良いビジネスモデルとはどんなものでしょうか。そのポイントを抑えておくと、会社探しやデューデリで役立ちますし、買収後の経営の参考にもなります。M&Aの実行フェーズの解説に入る前に、良いビジネスモデルについて考えてみましょう。

良いビジネスモデルとは、「収入が安定し、儲かりやすいビジネスモデル」ですが、そんなビジネスモデルとして、私がおすすめする1つ目は、「ストック収入」があるビジネスモデルです。

ストック収入とは、待っていればなにもせずとも入ってくる収入のことです。マンションの家賃収入がそれです。

ただし、マンションの家賃収入の中にもストック収入とはならないものがあります。ストック収入かどうかは、その収入が安定して入っているかで決まります。たとえば、ファミリー向けのマンションなら、長期の借り主が多いので、収入は安定して、ストック収入であることが多いでしょう。一方、ワンルームマンションの場合は、入退去が激しいので、収入が安定せず、ストック収入とはならない可能性があります。マンションの立地場所によっても収入の安定性は変わってきます。

その会社にストック収入があるかどうかは、過去10年くらいの取引記録を見れば判断できます。取引が継続し、かつ収入が安定しているものがあれば、それはストック収入です。売上の額は一定でも、売上先が毎回変わっているとしたら、それはストック収入とは言えないかもしれません。

拡張性があるビジネスモデル

「拡張性」のあるビジネスモデルもおすすめです。拡張性があるということは、ある地域や顧客層、限られた商品で展開されているビジネスが、ほかの地域や顧客層、別の商品でも展開できるということです。たとえば、東京で流行している飲食店なら、地方に展開できて、流行する可能性が高いでしょうし、化粧品を買う顧客層を持っていれば、その顧客層に美容サプリ販売を展開できる可能性が高いでしょう。拡張性があれば、売上を拡大させやすいので、経営が安定しやすくなります。

利益率が高いビジネスモデル

営業利益率や粗利率といった「利益率」の高いビジネスモデルもおすすめです。

利益率の高い代表的な会社がAppleです。Appleの粗利率は6割と言われています。これは競合メーカーの2~3割と比べると圧倒的な数字ですが、それは、Appleのブランド力とiPhoneなどの機能性から生まれる、商品の競争力が生み出しています。利益率の高さは、その会社が持つ商品やサービスの競争力が高いことを示しているわけです。

特許や著作権など、持っているだけで収入が入ってくる権利ビジネスも、利益率の高いビジネスモデルです。権利ビジネスのような高度に仕組み化されたビジネスモデルは、手間がかからないので利益率が高くなります。

おすすめのビジネスモデル、次のコラムも続きます。


記事監修

三戸政和(Maksazu Mito)

2005年ソフトバンク・インベストメント入社。兵庫県議会議員を経て、2016年日本創生投資を投資予算30億円で創設し、中小企業に対する事業再生・事業承継に関するバイアウト投資を行う。



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