事業計画がうまくいくかどうかは方向性が8割?

何をプラスさせるか

事業計画の作り方について説明していきましょう。

たとえばあなたが、大企業で営業畑を歩んできた人だとします。デューデリで、その会社はそれまで、オーナーひとりが営業をするだけで、専任の担当者はいなかったことがわかりました。そうなると、あなたの頭の中には、「こうやって営業方法を構築しよう」「あの営業管理システムを導入しよう」「新たな顧客へのアプローチはこうしよう」などと、営業力強化のための方法がどんどん浮かんでくるでしょう。

それを、事業計画作りでは、デューデリのデータをもとにシミュレーションをしながら、それらの営業力強化のアイデアには、実際どのくらいの経費がかかるのか、どのくらいの人員が必要か、売上はどのくらい上がるのかなどを、数値や行動の計画にしてまとめていくのです。

方向性を打ち出す

数値計画として出すのが難しいものについては、方向性を打ち出すということでもいいでしょう。

たとえば仕入れのデューデリで、長年、原価交渉をしていないことがわかれば、交渉の余地が見込まれます。ただし、これは交渉事になりますから、数値計画として示すのは難しいので、この点については、「交渉によって経費削減を目指す」という方向性を打ち出しておくのです。

このように、デューデリのデータを踏まえ、みなさんが実際に経営に入った場合に、どれだけのことを行動として加えることができて、会計や財務的にはどれだけ効果を上げられるのかを検討して、数値化できるものは数値化し、方向性を出せるものは方向性を出すというのが、スモールM&Aにおける事業計画作りになります。

ただし、アップサイド要因については、それが見つかっても、事業計画に反映させるかは慎重にした方がいいでしょう。私の投資先でも、デューデリでマーケティングにテコ入れの余地があると考えていた会社が、実際に経営に入って新しいマーケティング方法に変えてみると、商品の独特さゆえにそれが効かなかった、ということがありました。こんなこともありますので、アップサイド要因は割り引いてとらえるくらいがいいかもしれません。

事業計画作りの解説、続きます。


記事監修

三戸政和(Maksazu Mito)

2005年ソフトバンク・インベストメント入社。兵庫県議会議員を経て、2016年日本創生投資を投資予算30億円で創設し、中小企業に対する事業再生・事業承継に関するバイアウト投資を行う。



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