バイアウトファンドによるQ&A回答コーナー(第1回)

こちらは、皆様の素朴な疑問に、PEファンドである、我々日本創生投資の社員(たまに代表の三戸も登場するかも?)がお答えしていくコラムとなっています。

できるだけ全ての質問にお答えしていこうと思うので、M&AのことからPEファンドのことまで、この機会を活かしてお気軽にご質問ください!

(*不適切な質問と判断させていただいた場合、お答えすることはありませんのであらかじめご了承ください)

Q1.会社の買収資金はどの程度自己負担すべきですか?

我々のようなファンドは、買収資金にローンを組み合わせるLBOという手法を用いて買収することが多く、この場合に限って言えば、自己資金の割合は、およそ買収総額金の30%以上というのが一定の目安になります。

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しかし、皆様が買おうとしている会社のような、スモールM&A・個人M&A案件は、そこまで融資がつかない可能性もあるので、自己資金を買収総額金の50%以上や、少しだけの融資だけで賄うつもりで望んだ方がよろしいのかも知れません。加えて、M&Aは一種の投資であるため、自己資金というリスクをどの程度許容できるかは、人それぞれの環境・考え方、持っている現状の資産や生活スタイルによって変わってきます。ですから、あくまでも上記のような割合は「目安」であって、「絶対」ではありません。それよりも注意すべきなのは、会社を買うための資金さえあれば良いということではないことです。会社を買った後に追加資金が必要になるかも知れませんし、そこで資金がいきなり足りなくなれば、いきなり倒産です。そのため、追加資金や自身の性格・環境・生活など多くのことを顧慮しながら、M&Aに臨みましょう。

Q2.法務や財務のDD専門家の探し方を教えてください

専門家のソーシング・アプローチは正直営業みたいに泥臭くやるというのが本心ですね。これは、「ネットや知り合いのツテをフル活用して探し、アポを取り、実際にコミュニケーションをとって、自分に合う人を選定する」というような、取引先を増やす営業のようなプロセスを踏みます。加えて、いくらスモールM&A・個人M&A案件と言えども、経験者こそが、デューデリで判明したリスクについての重要度を把握しているので、M&Aやデューデリに詳しい人を選定するべきです。

しかし、現状国内で行われるM&Aの件数は、米国などと比べて少なく年間3000~4000件にとどまっており、一人の専門家がおよそ年間2~3件を担当すると仮定すると、M&A関連に実際に従事する専門家はおよそ1000~2000人になります(あくまでも推測ですが)。国内には弁護士が3.8万人、税理士が7.8万人存在しているので、確率としては1~2%程度の国内弁護士・税理士しかM&Aに携わっていません。そのため、やはり営業のような「足で稼ぐ」ということをするしかない、というのが結論になります。

Q3.三戸さんの著書タイトルは「300万円で会社を買う」ことですが、正直全く信じられません。安定した会社はぶっちゃけ、いくらぐらいの目安になるのでしょうか?

(三戸)結論から申すと、このタイトルは、「サラリーマンでも会社を買える」ということを伝えるためにつけたものであり、正直それ以上の意味はないです(笑)。また、金額が高い方が良い会社である「確率」は高くなりますし、安い方がその「確率」が下がるのも、間違いないです。しかし、これはあくまでも「確率」の話であり、300万円でも買える良い会社は間違いなくあります。それは著書でも、記事でも述べたように、負債が大きいため、安くなっている会社などです。

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そのため、値段というものは、あくまででも評価軸の一つであり、それだけでは決まることはありませんし、いろいろな会社を見ることが一番いいと私は思っています。

Q4.後継者が見つかりましたが、いつ周囲の関係者にM&Aのことを伝えるべきなのでしょうか?

何度もスモールM&Aを経験してきた身からすれば、M&Aに慣れている中小企業のオーナー・経営者はほぼいないです。そのため、想定していない譲渡金額や高圧的な要求などによって不安に駆られ、協力してくれる従業員以外に相談したい場面が出てきますが、この行為自体、ディールを壊すことになるため相談はNGです。(秘密保持契約によって開示が許可されている場合は別ですが)情報が漏れてしまい、相手側から損害賠償金を請求されたり、取引先からは打ち切りを打診されたり、役員が反対運動をしたりするなどのケースをいくつも知っています。

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通常、会社規模が小さい場合は全員が協力して行うケースもありますが、幹部社員や経理担当以外にM&A情報が漏れてはいけません。それらの従業員を統制した上で、対外公開が許可される、最終合意条件の確定以降に伝えることにしましょう。また、その際はしっかりと全社員に、同時期に、対象会社の概要やM&A経緯をしっかり説明することが重要となります。

以上で今回の質問返しを終わりたいと思いますが、いかがだったでしょうか?質問返しについてはコンテンツ化して、定期的に皆様の疑問や不安なことに答えていこうと思うので、お気軽に質問を投げかけてみてください。

それでは次回の質問返しでお会いしましょう!

匿名なので、お気軽にどうぞ!(*不適切な質問と判断させていただいた場合、お答えすることはありませんのであらかじめご了承ください)

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記事監修

三戸政和(Maksazu Mito)

2005年ソフトバンク・インベストメント入社。兵庫県議会議員を経て、2016年日本創生投資を投資予算30億円で創設し、中小企業に対する事業再生・事業承継に関するバイアウト投資を行う。


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