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”会社を終わらせる”とは?事業再生の意義・歴史についても紹介

会社を終わらせる手法について

経営者の方が、会社の終わりと聞いて、もっともイメージしやすいのは、やはり倒産でしょう。しかし、会社の終わりとは、倒産だけではありません。例えば、事業の売却のために、もとの会社を終わらせたいとか、後継者がいないため会社を清算したいなどの理由で会社を終わらせることもあります。そして現在では、我々のサイトのメインテーマである、「会社を売却したり合併したりするM&A」という手法も、会社を終わらせる手法のひとつとして捉えられるようになってきています

今回のコラムでは、事業再生系の最初のコラムとして、会社を終わらせる手法や事業再生の背景や意義について、少し触れていこうと思います。

倒産法制の歴史・変遷

まず、会社を終わらせる手続きには、「法律による手続き」と、「法律によらない任意の手続き」という分け方で、二通り存在します。

前者の、「法律による」会社の整理は、「法的整理」といい、裁判所の管理の下で進められます。その手続きは、破産法や会社法などの法律に定められており、透明性のある手続きによって、公平に進められていきます。多くの人がイメージする会社の終わりはこの手続きでしょう。

一方、後者の「法律によらない」任意の手続きは、「私的整理」といい、関係者の話し合いによって会社の整理が進められます。その手続きに、関係者を厳格に拘束するなどのルールはなく、話し合いによって関係者全員の合意を目指します。

簡単に言えば、以上の二つが、会社を終わらせる手続きになりますが、このような手続きを通じて「事業再生」を目指すきっかけになったのは、一体いつから始まったことなのでしょうか?ここからは少し、そのような背景について扱っていきます。

バブル経済の崩壊後の日本では、不良債権の処理が大きな問題となっていました。これによって、経済は大混乱となりましたが、このとき機能すべきであった、不良債権や倒産を処理して会社を終わらせるシステム、いわゆる倒産法制は、古かったり、使い勝手が悪かったりなどの要因から十分な機能を果たすことができませんでした。そのため、不良債権の処理は遅々として進まず、再建可能な企業が再建できないことが、往々にして発生し、日本の経済的な回復は大幅に遅れを取り、長期的な日本経済・市場の停滞を招くことになりました。

そして、この事態の根本的な原因である「倒産法制が機能しないこと」は問題視され、倒産法制は抜本的な改正がおこなわれることになりました。

この改正では、倒産法制が、日本の事情に合わせた使いやすいものになったと同時に、私的整理についての環境作りも進み、金融界と産業界の協力によって紳士協定ともいえるルールが設けられました。加えて、ここでなにより大きかったのは、倒産法制に、財産の公平な清算を図る目的に加え、破綻した会社の救済や事業の再生を目指す目的が加わったことでした。そしてその目的に向けて、民事再生法や会社更生法などの法律が整備され、法的手続きでも、裁判所の管理の下で、事業の再生を目指す方針がはっきりと打ち出されることになった上、私的整理の手続きでも、事業の再生を念頭に置いたルールがいくつも設けられました。

これが事業再生の端緒とも言える出来事でしょう。

そして、この新しい倒産法制のもとに、日本の倒産を巡る環境は大きく変化し、傾きかけた会社は、会社の再建や事業の再生を目指しながら、会社を終わらせていくということが基本のルールとなりました。現在では、法的整理と私的整理をうまく組み合わせながら、倒産の前の段階で、私的整理に着手し、継続可能な事業については売るなどして事業の再生を図り、残りは法的な手続きも利用して、倒産の処理をするという進め方が広く浸透しています。また、それらの変化に伴って、終わりを迎えた会社であっても、生かすべきところは生かしていこうという倒産を巡る環境が作られたり、会社の再建や事業の再生は市場として確立されたり、それを担う専門家も生まれてきてたりもしています。

事業再生の意義について

たいてい、会社が傾き始めるときというのは、まず営業利益が減って赤字となり、資金繰りが難しくなり、そこで借入金を増やすことで財務状況も悪化し、果てには債務超過に陥るというような道筋をたどります。

これらの原因には、事業の停滞、多角化の失敗、財務的な問題などさまざま存在し、多くの経営者はその改善に向けてマンパワーを注ぎ込みますが、実はそれよりも重要なことは、悪化の兆候が出始めたときに、事業の絞り込みやコスト削減などの手を打って、経営悪化の原因を取り除くことなのです。

しかし、こういう時に限って、銀行に融資をお願いしたり、債務の返済を延期してもらうよう頼み込んだりと、資金繰りのことで頭がいっぱいになり、経営悪化の原因にまでは考えが及びません。

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事業再生は、時が経過するにつれて、取り得る手法も狭まっていくため、特に、会社の存続や事業の再生を図りたいなら、早め早めに手を打つことが大切です。もちろん、上記のように金策に走り回る経営者の方の気持ちも分かりますが、会社の存続、事業の再生という観点では、一歩引いた目で、会社や事業を見直してみることが必要になります。

経営の環境に合わせて企業が淘汰され、弱い企業が市場から退出することは、産業の構造の変化を促し、市場が成長していくためには必要なプロセスです。このプロセスが正常に機能しなければ、経済全体がうまく回らなくなりますし、歴史として、バブル崩壊後の「失われた十年」と呼ばれた日本がまさにそうでした。

企業が弱くなる原因というのは、事業そのものの弱さ、経営陣の問題、財務上の問題などさまざまな理由があるでしょう。企業が弱いままならば、市場から淘汰され退出していくべきなのでしょうが、その弱さの原因を取り除けば、競争力が回復し、企業として再建ができるとしたら、それは市場全体にとっても意義があります。それは、企業で働く従業員にとっても、働く場を失わないで済みますし、企業のもたらす商品やサービスも市場から失われずに済む上に、取引先への悪影響も防ぐこともできますし、債権者へ支払いを続けることも可能になるからです。

そして、これこそが、会社の再建、事業の再生の意義は大きいことを証明しています。

最後に

以上のように、会社を終わらせる手続きや事業再生の意義・背景について説明していきましたが、会社の再建や事業の再生には適切なタイミングがあり、それは、会社の業種や規模、経営状態などさまざまな条件によって変わってくるため、プロフェッショナルである我々にも一概にはいうことができないぐらい難しいものです。

加えて、会社の再建や事業の再生は、基本的には、債務の免除やリスケジュールなどの整理を行いながら、会社や事業を収益性のあるものに再構築していくプロセスを辿りますが、これらは要するに、短期的な手当てをしつつ、財務的な整理をしながら、長期計画を立てて、会社や事業を再生させていくということなので、そのための時間を生む会社の運転資金に加え、専門家に払う費用など、資金的な裏付けはどうしても必要になってしまいます。

後継者のめどが立たないなら――、

赤字決算の改善の目処が立たないなら――、

手元の資金繰りが厳しくなってきたなら――、

業界全体が下り坂に向かっているなら――、

なにかの手を打つべきなのかもしれません。

前述した通り、会社の再建や事業再生には早め早めの対応が必要です。相談先は、まずは顧問の税理士さんや弁護士さんなどになるでしょうが、中小企業の再生を支援する相談窓口が各都道府県にありますし、事業再生の専門家や組織も増えてきています。我々日本創生投資もまさにその中の一つです。

その道のプロに相談をすることで、会社にとって最善の道を選択しましょう。何かご悩みなどがございましたら、是非下記のリンクより、お気軽にご相談ください。


記事監修

三戸政和(Maksazu Mito)

2005年ソフトバンク・インベストメント入社。兵庫県議会議員を経て、2016年日本創生投資を投資予算30億円で創設し、中小企業に対する事業再生・事業承継に関するバイアウト投資を行う。


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