日本創生投資

Column

2021.01.09

資本家が大切にしていること

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・資本家と経営者の目線の違い

資本家の本来の仕事について、経営者との違いから説明しましょう。資本家の仕事とは箱を作ることであり、経営者の仕事はその箱(=会社のビジネス)を回すことです。経営者は労働者のトップという立場になります。

経営者がもっとも気にするのは損益計算書(PL)です。PLに書いてあるのは、どれだけのコストで商品が生産販売され、どれだけの利益が出ているか、ということです。一方、資本家が気にするのは貸借対照表(BS)です。BSにはその会社が持つ資産と資産の使われ方が書かれていて、その会社全体の資産価値がわかります。

BSを見る資本家とPLを見る経営者。その違いによって、行動でも変化が出てきます。たとえば、あるブランドが店を出そうと検討する場合、その店単独で利益が出ないとしたら、PL的には出店は不可となります。その店で儲けが出ないなら、店は出せない。経営者なら当然そう考えます。

一方、BS目線の資本家となると、店の出店による波及効果も含めて考えます。ブランド店が出店すれば、その通りの人通りが増え、土地は値上がりするでしょう。それを初めから見込んで周辺の土地を買っておけば、店の赤字をカバーする以上の利益が出ます。店舗と所有する土地トータルで利益を出せばいいと考えるのが資本家の考え方です。

・資本家は再現性、継続性を重視する

資本家は再現性、継続性のあるビジネスを評価します。たとえば、高い技術を持つ、いわゆる匠のいる刃物工場と、技術的にはたいしたことはないものの、安定した品質の商品を長い間、販売している刃物工場。どちらを買いたいと思うでしょうか。資本家として買いたいのは、後者の方です。

もちろん前者の高い技術を持つ刃物職人の技術が、再現性、継続性の高いものだったら魅力はあります。しかし、いわゆる匠の技のような、ほかの人が真似できないような技術だったら、その人がいなくなった瞬間に、その会社のビジネスは立ち行かなくなってしまいます。

後者の会社は、安定した品質の刃物を生産できる設備があったり、その技術をだれでも継承できるマニュアルがあったりするからこそ、安定した品質の商品を長いこと継続して生産できている会社です。

資本家としては、継続性や再現性が見込める会社の方が価値が高いと考えます。マニュアルによってだれでもその仕事をこなせるということは、すぐに代わりの人が見つけられるということですし、同じ仕事をする人を増やすことも可能なので、価値が高くなるのです。

・匠の技をマニュアル化できるか

ただし、人間のやることはたいていマニュアル化できるものです。匠の技と言われる技術も然りです。匠の技というものはたいてい、仕事の内容が隠されているか、分析されていないからそう呼ばれるのであって、その内容が公開されて分析されれば、細分化して整理できるので、マニュアル化できて、だれもができる仕事になります。

ですから、匠の技を持つ職人がいる会社を買おうとする場合は、その技がマニュアル化可能かどうかを見極めることが、資本家としては大事になります。そして、会社を買ったら、匠の技をマニュアル化することが、新オーナーの大事な仕事となり、それができれば、匠の技を持つ職人をどんどん増やせることになって、その会社の価値は飛躍的に上がることになります。

・資本家にとってもっとも大事なもの

資本家にとってもっとも大事なものは、「自分」という人的資本です。モノもカネも、他人というヒトも無限に増やせますが、自分という人的資本(=自分の身体と時間)は有限だからです。

資本家は、自分の身体と時間を使って、箱や仕組みを作り、そこに他人やモノやカネを投入して富を得ます。そうすることが、希少性の高い「自分の身体と時間」を最大効率化させることになります。

ある会社を買って、その会社のビジネスを仕組み化して、ほかの人に任せられるようになれば、資本家自身の身体と時間は、次の仕組み作りに向けられます。こうしたことを続けていくのが、資本家の本来の仕事なのです。

・次に必要になる丸投げ力

資本家が、ある仕事を仕組み化して、人に任せたら、次に必要になるのは「丸投げ力」です。仕事を人に任せたとしても、進捗をチェックしたくなるのが人間の性ですし、うまくいっていなかったら、口も出したくなります。それでも、致命的な大損害を被るトラブルでない限り、その仕事には口を出さない。それが丸投げ力です。

丸投げをするためのコツは、「60点でいい」と思うことです。100点を目指したいなら丸投げはできません。100点を取り続けるには、自分の身体と時間を使ってコミットする必要があります。そうなると結局、2つくらいの箱にしかコミットできず、2つとも100点が取れたとしても、合計で200点しか取れません。しかし60点でいいと考えるなら、仕組み化して丸投げできるので、いくつもの箱にコミットできます。60点の仕組みでも、4つ所有すれば240点です。数はもっと増やせるでしょう。

60点で満足するには、小さな失敗を失敗と思わないことです。ミスやトラブルは「次の成功につながるよね」ぐらいに受け止めましょう。お金で解決できることはお金で解決して前に進む。それくらいのメンタリティが資本家には大事になります。

・情報共有とポートフォリオも大事

仕組み化した仕事を、人に任せながらうまく回すための重要なベースとなるのが情報共有です。FacebookなどのSNSは情報共有に非常に役に立ちます。私は主にFacebookのメッセンジャーを使って情報共有をしています。ひとつの会社に対して、1日に2、3通のメッセンジャーのやり取りだけで、事業の進捗はわかりますし、大半の要件は片がつきます。ですから投資先にはほとんど顔を出さず、丸投げ状態にできます。

働いてくれる人には十分お金を払うことも大切です。それをケチるような人は資本家には向いていません。

また、たくさんの仕組みを持ったとしても、それが全部、同じカゴに入っていては危険になります。「たくさんの卵をひとつのカゴに入れておいてはいけない」。ポートフォリオを組みましょうということですが、資本家にとってポートフォリオは絶対に必要なことです。

人為的なリスクにはある程度、対処が可能ですが、自然災害は避けようがありません。今回のようなパンデミックが起こることもあります。このパンデミックで、私自身、自分の持つ箱がすべて飲食業や観光業だったとしたら、かなり厳しい状態になったでしょう。

今回のパンデミックは、資本家としては、できるだけポートフォリオを組んで、種類の違う箱を持っておくことが最大のリスクヘッジだ、ということを、改めて確認できた経験でした。

ひとつの会社に依存しているサラリーマンは、リスクヘッジの点から見ても、ポートフォリオを組めていない状態と言えます。そういう意味でも、サラリーマンより資本家の方が有利と言えるのです。

次のコラムからは、いよいよ、会社を売買するためのノウハウを、会社を売買するプロセスに従って、書いていきたいと思います。

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