日本創生投資

Column

2021.04.22

会社を知るための会計訓練②~減価償却費とEBITDA

Spread the love

・減価償却費をわかりやすく

PLには減価償却費という項目が出てきます。減価償却費は、会計的な必要性から作られた概念なのでわかりにくく、つまずく人が多いのですが、M&Aをするには理解しておくべき知識です。

車を例に説明しましょう。車を300万円で買えば、車は会社の資産となります。代わりに、会社の資産である現金から、代金の300万円が支出されます。会計的には、貸借対照表(BS)の資産の中に車が載り、その分、現金資産が300万円減ることになります。会社全体の資産価値の変動はありません。

一方、車の代金の300万円の支出は会社の経営のための費用なので、PLにも載せなくてはなりません。その費用を減価償却費として計上するのですが、そのルールがちょっとわかりにくいのです。

会計のルールでは、車は何年かにわたって利用するモノなので、その費用は、車の使用期間(耐用年数と言います)でならして計上することになっています。車の耐用年数が6年だとすると、300万円を6年にならして、毎年50万円の費用をPLに計上するわけです。それが減価償却費の計上ルールです。

しかし実際には、車の代金の300万円は最初の年にすでに支出されています。ということは、PL上は減価償却費として毎年50万円が計上されてはいるものの、車を買った翌年以降は、そのお金は実際には支出されないことになります。つまり、減価償却費は「(その年度には)支出されない(ノンキャッシュ)費用」なのです。

・M&Aには必須のEBITDA

PL上、車の減価償却費は、車を購入した2年目以降も費用として計上されていますが、実際には支出されません。営業利益も、減価償却費分が差し引かれた金額になっていますが、実際には現金の支出がありませんから、その分、プラスのキャッシュフローが生まれていることになります。

ですから、本業でどのくらいの現金を生み出したかを考えるには、営業利益に減価償却費を足し合わせて計算するのです。そして、次の式が成り立ちます。

営業利益+減価償却費=EBITDA

EBITDAは「イービッダー」「イービットディーエー」などと読みますが、M&Aでは非常によく使われる言葉です。

この式から導き出されるEBITDAとは、本業で生み出すキャッシュフローのことです。簡単にいうと、その会社が本業でどのくらい儲けたかを表す数字です。本業での儲けというと営業利益というのが普通ですが、M&Aでは、実際には支出されない減価償却費も考慮して、その会社の実力としてとらえるのです。

M&A業界ではよく、「EBITDAでいくら出る会社」という言い方をします。EBITDAはその会社の実力をわかりやすく示す数字としてとらえられているのです。営業利益の大きな会社が良い会社であるように、EBITDAの大きな会社も良い会社と考えることができます。別のコラムで説明しますが、EBITDAを使って会社の買収価格を決める方法もあります。

・フリーキャッシュフローとは

さらに説明すると、営業利益から税金などを払うと最終的な利益(純利益)になりますが、この最終的な利益に減価償却費を足して、経営に必要な運転資本(運転資本増加額)を引くと、フリーキャッシュフローという数字になります。

フリーキャッシュフローは完全に自由に使えるお金です。設備投資に回すことも借入の返済に回すこともできます。この返済に回せるというのが大事なところで、フリーキャッシュフロー分の返済が毎年見込めるということは、フリーキャッシュフローの額によって、その会社がどれだけの借入をできるかが決まるということです。フリーキャッシュフローを根拠に大きな融資が受けられれば、設備投資などに使えます。また、フリーキャッシュフローを根拠に銀行からの融資を受けて、自分でお金をほとんど出すことなく、その会社を買うというLBOというスキーム(買い方)もあります。スキームについてはまた別のコラムで詳しくお話しします。

次のコラムでは、貸借対照表(BS)の読み方の解説に入ります。

また、日本創生投資は、事業成長を目的とした、中小企業によるM&A活性化に貢献すべく、M&Aのコンサルティング/サポート事業も行っています。
こちらから、まずはお気軽にご相談ください。:https://nipponci.com/#contact