日本創生投資

Column

2020.10.17

中小企業が持つ大きな価値

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・黒字企業ですら廃業を選んでいた

かつて中小企業は親族内で承継されるのがほとんどでした。しかしいまは、サラリーマンをしている子どもが会社を辞めてまで後を継ぐことを、親も子どもも望まないケースが多いようです。引き継ぎ手が決まらないまま、中小企業はオーナーの高齢化と後継者不足の一途を辿り、新陳代謝が進まず、さらにはM&A市場の不十分さもあって、後継者のいない中小企業の多くが廃業という選択肢を選んでいました。

一般論としては、市場から退出しているのは非効率な会社で、価値がある会社は残っているはずでした。しかし民間調査会社の東京商工リサーチの調査で、廃業する会社の半数が黒字という実態がわかりました。後述しますが、中小企業は大きな利益を生まずとも、社会的な意味でその価値が十分にある会社が少なくありません。しかし、そんな価値以前に、黒字企業ですら廃業を選ぶというのが現実でした。

黒字企業ですら失われる事態に危機意識が広がり、国はさまざまな施策を打ち出して対応を急ぎました。いまでは、中小企業のM&A、事業承継の環境はかなり整えられたといえます。この国の対応策、いまの中小企業のM&Aを巡る環境は、黒字企業だけを救おうというものではありません。「引き継がれるべき中小企業」は黒字企業に限らないのです。中小企業の持つ価値は、金銭的な価値以外でも、さまざまなところに見出すことができるからです。

・ほとんどの中小企業に引き継がれるべき価値はある

以前のコラムでお話しした通り、起業して上場までたどり着く会社は、千三つといわれるように0.3%とごくわずかです。中小企業庁のまとめによりますと、起業して5年後に残っている会社でも、製造業では42%に過ぎません。10年後に残っている会社となると23%になってしまいます。この数字は小売りやサービス業も含めるともっと低くなるでしょう。

起業するとさまざまな困難に直面します。設備が思うように稼働しない、仕様通りの商品が作れない、販売先が見つからない、従業員が採用できない…などなど、こうした困難は起業あるあるです。それらをすべて乗り切って、安定飛行に達したのが、5年10年と続く会社なのです。

10年続いた会社なら、商品は予定通り作られ、販売先も安定し、経験を積んだ従業員もいるでしょう。たとえ、その利益がたいしたものではなかったとしても、その会社は、商品という価値、その会社が持つ技術、従業員の安定雇用、取引先とのつながり…などなど、さまざまな価値を社会にもたらしています。長年安定して経営を続ける会社というのは、金銭的価値以外のところでも、そんな大きな価値を持っているのです。たとえ、その会社のビジネスが将来的にはそれほど大きな飛躍は望めないとしても、いまの経営を続けていける限り、社会的には十分価値があるといえます。

要するに、10年続いている会社はそれだけですごい会社なのです。この「10年」というのはひとつの目安でしかありません。社歴がもっと少なくても十分価値のある会社もあります。あえて「引き継がれるべき中小企業」を定義づけすれば、「起業あるあるのさまざまな困難を乗り越え、経営の安定飛行に達した会社」ということになるでしょうか。そんな中小企業は少なくないはずです。中小企業の多くに、「引き継がれるべき価値」があるからこそ、いま国が中心となって、盛んに呼び掛けや対応策がとられているのです。

・中小企業のM&Aが広がるための最大のネック

もちろん、市場から退出すべき会社というのはあります。しかし、すでに述べたように、10年と長く続いているだけで、その会社はすごい会社であり、その会社の持つ雇用や取引関係、商品が社会にもたらしている価値など、社会的な面から見れば、引き継がれるべき価値を持つ会社は数多く存在します。それなのに、多くの中小企業オーナーがそのことに気づかず、M&Aや事業承継のことも知らないため、なかなかM&Aや事業承継に踏み出してくれないという現状があります。

ですから、中小企業のM&A、事業承継を広げていくためには、できるだけ多くの中小企業オーナーに、M&Aや事業承継のことを知ってもらうことが必要になります。その上で、会社には、その事業や資産的な価値だけでなく、社会的な価値もあるということを知ってもらい、自分の会社にも可能性があることに気づいてもらいたいのです。

自分の会社なんか、売ってもたいした額にはならないとか、M&Aなんか手間ばかり掛かって自分には金銭的な見返りが少ないだろう、などと考えるオーナーの方は多いでしょう。M&Aに手間が掛かるのはたしかです。でもオーナーの方々が育ててきた会社には、ご本人には気づかれない価値がたくさんあります。そのことを知ってほしいのです。

それは雇用などの社会的な価値かもしれませんし、ほかの人から見た場合の事業的な価値かもしれません。ですから中小企業オーナーの方々には、ぜひ、自分の会社の持つ価値を、ほかのだれかに客観的に見てもらって、M&Aや事業承継の可能性を探ってほしいと思います。それが、中小企業のM&A、事業承継を広げていく重要な第一歩となるのです。

中小企業のオーナーの方がM&Aや事業承継について興味を持った場合、気になるのはどんな中小企業が高く売れるのか、ということだと思います。実はいまの大廃業時代は、売り手の方には非常に有利な状況となっているのです。次のコラムで詳しくお話しします。

また、日本創生投資は、事業成長を目的とした、中小企業によるM&A活性化に貢献すべく、M&Aのコンサルティング/サポート事業も行っています。
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