日本創生投資

Column

2020.10.10

なぜ会社を売るのか~スモールM&A の売り手の視点

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・後継者のいない中小企業オーナーに伝えたいこと

会社を長年続けてきたものの、自分は高齢となり、後継者もいない。経営状態は借金を返しながらなんとかやって来たが、いまのビジネスが大きく伸びるとは思えず、現状維持が精一杯。会社の将来性はそれほど見えないし、都会に出てサラリーマンをやっている子どもたちに引き継いでもらうほどのビジネスでもない。会社を整理したお金で、いまの借金を払って、この会社は自分の代で畳もうと思っている――。こんな中小企業経営者は多いのではないでしょうか。

これまでは中小企業のM&Aが一般的でなかったこともあり、そう考えるのがセオリーだったのかもしれません。しかし、現在においては、それは正しい選択とは言えなくなっています。

会社の廃業がもたらすものは深刻です。まず従業員は働く場を失います。従業員には家族もいるでしょうから、次の職が見つからなければ、家族共々、路頭に迷うかもしれません。

取引先にも迷惑が掛かります。事によったら連鎖倒産のリスクもあり得ます。在庫や仕掛品を売ろうにも、廃業となれば10分の1程度の値段になってしまいます。

会社の設備も買い叩かれるので、たいしたお金にはなりません。土地を売却しようにも、上物の建物の撤去を求められるのが通常ですから、その費用が差し引かれれば、土地の売却による利益も多くは望めません。

会社を整理して、最終的に資産として残るのは、たいていは微々たるものになります。

そこから会社の借金を支払い、残ったお金でその後の自分と家族の生活がどの程度、成り立つでしょうか。会社を整理しても借金を返しきれないこともあります。もしオーナー自身が会社の借金の個人保証をしていれば、オーナー個人の資産から借金を返済しなければならず、オーナーの生活破綻にもつながりかねません。

会社という「動いているもの」の動きを止めて整理することは、こうしたさまざまなリスクがあるのです。

・中小企業のスモールM&Aは相手にされなかった

廃業にはこんなリスクがあるのに、なぜ中小企業のM&Aが少なかったのかというと、M&Aには非常に手間とコストが掛かるからです。

これまでのM&Aは仲介会社などの専門家が間に入るのが通常でした。会社を売りたい売り手を探し、その会社を買いたい買い手を探して、マッチングさせて交渉を進め、契約をまとめる。こうしたプロセスには非常に手間と時間が掛かり、専門的な知識も必要ですから、仲介料は1件につき、1000万円を軽く超えます。

そのくらいの仲介料を掛けても割に合うM&Aとなると、ある程度の規模以上の会社同士のM&Aになってしまいます。中小企業は売上数千万円、営業利益で数百万円のところが多いですから、売買価格の相場である「売買価格=純資産+営業利益3~5年分」でみると、数百万~1000万円程度の価格になるでしょう。そのくらいの額の取引で仲介手数料1000万円なんて払っていられません。だから仲介会社は中小企業のM&Aをまったく相手にしなかったのです。

・M&A マッチングプラットフォームの登場

しかし、いまでは中小企業のM&A市場が活性化してきました。とくにインターネットのM&Aマッチングサイトでは売り手や買い手が無料で登録をして、マッチングサービスを利用できます。M&Aが成立した場合の手数料も、売買金額の数%が通常です。M&Aのサイズに合わせて手数料が決まるので、小さな会社の取引も十分可能なのです。

事業引継ぎセンターや政策金融公庫など公的機関が行っているマッチングサービスでは、無料でマッチングをしてもらえますし、案件が成立しても、公的機関は手数料を取ることはありません。

このように、小さな会社でもM&Aが可能な環境が整ってきています。ですから中小企業経営者の方にとっては、デメリットばかりの廃業を選ぶのではなく、一度、こうしたサービスを使ってM&Aの可能性を探ってみるのが、いまやセオリーとなってきているのです。

中小企業のM&A市場が整ってくると、売り手として気になるのは、自分の会社に市場価値があるのか、ということでしょう。次のコラムでは、引き継がれるべき価値のある中小企業とはどんな会社なのかについて、深掘りしていきましょう。

また、日本創生投資は、事業成長を目的とした、中小企業によるM&A活性化に貢献すべく、M&Aのコンサルティング/サポート事業も行っています。
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