日本創生投資

Column

2021.04.10

どうやって会社を探すのか⑤~基本合意契約までの流れ

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・ノンネームシート、秘密保持契約、インフォメーションメモランダム

ソーシングでは、M&Aのマッチングサイトを見たり、仲介などのプレイヤーを回ったりすることで情報を収集しますが、そのとき入手するのが、いわゆるノンネームシートというものです。ノンネームシートとは、FAや仲介が持っている売り案件の情報です。M&Aマッチングサイトに上がっている情報もそれです。

ノンネームシートは、その会社が特定されないよう、限られた情報に留められています。会社の名前は出ていませんし、事業も概要程度で、所在地もざっくりとしています。

買い手は、ノンネームシートを見て、「この会社、良さそうだな」「事業内容を詳しく知りたい」と思えば、その会社と連絡を取って、NDA(秘密保持契約)を結びます。NDAで情報を漏らさないことを約束した上で、さらに詳しい情報をもらうわけです。

そして手に入れるのがインフォメーションメモランダム(IM)です。IMには会社の実名、所在地、事業内容、財務状況、資産構成、組織概要など、会社の詳細な情報が載っています。買い手はIMを分析して、さらに知りたいことがあれば、メールなどで売り手側に問い合わせます。

会社の詳細を知った上で、「この会社を買いたい」と思ったら、「面談」に進んで、実際にオーナーに会って話を聞きます。M&Aではこの面談が重要になります。序盤の山と言っていいでしょう。

面談を経て、「この会社、やっぱりいいな」と思い、売り手側も交渉を進めることに合意したら、基本合意契約を結ぶことになります。

ただし、基本合意契約を結んだからといって、買うことが決まったわけではありません。基本合意契約は、「買う前提で、もう少し詳しく見せてください」という、M&Aの実行フェーズに入るための約束です。

・売り手はなかなか決断できない

ソーシングで重要になるのが、売り手を「口説き落とす」ことです。

以前のコラムでもお話ししましたが、会社は商品ではありません。オーナーさんは事業承継の必要性を感じつつも、まだ迷いがあって悩んでいることがほとんどです。とくに日本には身売り文化が残っているので、オーナーさんは本音では、事業承継のことを表沙汰にしたくないと思っています。「従業員や取引先にバレたら離反される」「銀行が知ったら融資を引き上げられる」「競合に知られたら事業に差し障りがある」などと考えているのです。

ソーシングを始めればわかりますが、買い手がオーナーさんと会ったとしても、オーナーさんはなかなか事業承継の話をしてくれません。オーナーさんは、事業承継をしたいと思いつつも、「情報は表に出したくない」「信頼できる人にしかそんな話はできない」「この人は果たして信用できるのだろうか」などと考えているのです。

ですからみなさんとしては、オーナーさんに信頼感を与えて、「この人だったら事業承継のことを話してもいい」と思ってもらう必要があります。それが口説き落としです。オーナーさんを口説いて信頼を得ることで初めて、事業承継の案件が動き出すのです。

これはM&Aマッチングサイトにおいても同じです。ネットを介してのやり取りになりますが、買い手はメールやメッセージの文面や内容を駆使して、オーナーさんを口説かなくてはなりません。

多くの人に会って、自分を知ってもらってネットワークを広げ、いろいろな情報を得て、良い会社が見つかれば、そのオーナーさんを口説き落とす。こうした地道な努力を続けることで案件に出会えますし、つかみ取ることもできるのです。これを続けるのがソーシングです。ドブ板の営業回りと同じなのです。

・資本家への一歩を

私の場合、ファンドを立ち上げて、最初の1件の投資を決めるのに、3000人くらいにコンタクトをして情報を集め、200社くらいの会社のデータを検討して、最初の投資すべき1社を決めました。そのくらいのソーシングをして、やっと自分と相手のニーズがマッチする案件に出会えるのです。

結婚相手を探す婚活でも、自分の望む相手にはなかなか出会えないように、ソーシングでも自分の求める案件に出会うのは簡単ではありません。情報を取るのも大変ですし、売り手を口説いて、交渉に辿り着くのもかなり大変な作業になります。私はソーシングが、M&Aのプロセスにおいて、もっとも労力のかかるものであり、かつ、労力をかけるべきものだと思っています。

ソーシングを乗り越えられる人だけが、会社を買えて、資本家への一歩を踏み出せるのです。

・土台を作る

それからもうひとつ、この段階でなすべき重要なタスクがあります。それは地固めです。

自己紹介のプレゼン資料にしても、フラッグの立て方やターゲットの条件設定にしても、初めから100%のものはできません。それらを、この時期にできるだけ多くのプレイヤーたちに見てもらって意見を聞きましょう。多くの人から意見をもらって、修正点はないか、足りないものはないかを確認して、必要があればどんどん修正しましょう。そうやって徐々に、自分のやり方が固まっていくのです。

私が最初に作ったプレゼン資料も、この段階で多くの人と話をする中で、「ここはあまり伝わらないな」とか、「ここでこういう質問が来るならこういう情報が必要だな」と修正していきました。そして数ヶ月経ったら、資料の半分くらいは変わっていました。そんなふうにして、この段階で、みなさんのM&Aの土台が作られていくのです。

会社の情報収集から基本合意契約までは、以上のような流れで進みます。次のコラムからは、それぞれのソーシングプロセスの詳細を見ていきます。

また、日本創生投資は、事業成長を目的とした、中小企業によるM&A活性化に貢献すべく、M&Aのコンサルティング/サポート事業も行っています。
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