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M&Aにおける事業計画の作り方とは?目的と重要なポイントについて投資ファンドが解説

事業計画を作る目的とは?

事業計画は、会社にとって、普段の経営のために必要なものですが、M&Aにおいて、なぜそれを作る必要があるのでしょうか。

M&Aにおいて、事業計画を作る第一の目的は、事業計画を売り手側のオーナーに示し、それに納得してもらって、売却の合意を得ることです。

資金調達のためにも必要です。金融機関や投資家からお金を集めるには、彼らに事業計画の内容を認めてもらわなければなりません。

いわずもがなですが、事業計画は買収後の経営のために必要です。買収計画は、売り手側や金融機関を納得させるためだけの「絵に描いた餅」ではダメということです。事業計画が使えるものでなければ、会社を買ったものの、事業にも資金繰りにもたちまち行き詰まることにもなり得ます。

事業計画とは、経営陣や従業員が、日々の経営で立ち返って見る指針です。彼らが日々の仕事を具体的にイメージできるような「使える」事業計画を作りましょう。

事業計画の作成方法とは?重要なポイントについて解説

個人M&Aにおける事業計画作りについて、大きく3つに分けて解説したいと思います。

・数値計画・方向性

・運転資本

・KPI

それでは、それぞれの項目ごとに解説していきます。

数値計画・方向性

事業計画作りでは、デューデリジェンス のデータをもとにシミュレーションをしながらアイデアを出して、そのアイデアには、実際どのくらいの経費がかかるのか、どのくらいの人員が必要か、売上はどのくらい上がるのかなどを、数値や行動の計画にしてまとめていきます。

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例として、営業に関する事例を挙げます。デューデリジェンス の中で買収する予定の会社はそれまで、オーナーひとりが営業をするだけで、専任の担当者はいなかったことがわかりました。そこで「こうやって営業方法を構築しよう」「あの営業管理システムを導入しよう」「新たな顧客へのアプローチはこうしよう」などといったアイデアに関する計画をまとめていくのです。

数値計画として出すのが難しいものについては、方向性を打ち出すということでもいいでしょう。

たとえば仕入れのデューデリジェンス で、長年原価交渉をしていないことがわかれば、交渉の余地が見込まれます。ただし、これは交渉事になりますから、数値計画として示すのは難しいので、この点については、「交渉によって経費削減を目指す」という方向性を打ち出しておくのです。

このように、デューデリジェンス のデータを踏まえ、みなさんが実際に経営に入った場合に、どれだけのことを行動として加えることができて、会計や財務的にはどれだけ効果を上げられるのかを検討して、数値化できるものは数値化し、方向性を出せるものは方向性を出すというのが、スモールM&Aにおける事業計画作りになります。

運転資本

事業計画作りのプロセスを進める中で、最重要のチェック項目になるのが「運転資本」です。

運転資本とは、その会社がビジネスを続けるために必要な資金です。

いわゆる「資金繰り」に関わるお金で、「運転資金」という言葉も似た意味で使われています。この運転資本について説明していきましょう。

原材料を仕入れ、それを元に商品を作って販売するビジネスを例に考えてみます。商品製造に必要な仕入れの代金は通常、現金払いではなく、1ヶ月後や2ヶ月後にまとめて支払うことが多いでしょう。商品の売上代金も、1ヶ月後や2ヶ月後にまとめて入ってきます。一方、日々の会社の経営には、人件費や水道光熱費、事務所の家賃などさまざまなお金がかかります。

運転資本とは、この「仕入れ~製造~販売」のサイクルを回すためと、日々の経営のために必要な資金のことです。

たとえば、飲食店は日銭商売ですから、売上は毎日、その都度、入ってきます。一方、仕入れ代金の支払いは1ヶ月後にまとめて、ということが多いですから、毎日の売上代金を貯めておけば、仕入れ代金の支払いはできます。日々の経営のための費用も毎日の売上から出すことができます。ですから飲食店のようなビジネスでは、運転資本は少なくて済むことになります。

ビジネスによっては、仕入れ代金の支払い期日が先に来て、売上代金の回収日は後、というものがあります。製造業がその代表的なビジネスです。

たとえば、工場設備の製造販売業なら、設備を製造して納品し、検品が完了してやっと売上が認められます。しかし売上代金が回収できるのは、その翌月や、ともすれば、手形払いによって、半年後ということもあり得るのです。一方で、商品を作るための部品などの仕入れ代金は、売上代金が入ってくるよりも先に支払いをしなければなりません。

日々の経営のための費用もかかります。つまり、製造業のようなビジネスでは、売上代金が入ってくるまでの間、経営を続けるためには、「仕入れ代金+毎日にかかる費用」分というかなりまとまったお金が、運転資本として必要になるのです。

デューデリジェンス では、その会社にはどのくらいの運転資本が必要なのか、いまある現金や借入枠で十分足りているのか、足りないなら手当てする手段はあるか、をしっかり見る必要があります。事業計画も、必要な運転資本を踏まえたものを作らなければなりません。

運転資本が多い会社は、なるべく運転資本を少なくする方法を考えましょう。支払い期日をもっと後にできないか、支払いを分割にしてもらえないか、売上の回収を早める余地はないか、などをチェックして、それらが可能なら事業計画に反映させます。

運転資本の確保、いわゆる資金繰りの安定は、会社経営のリスクを回避する最重要項目です。事業計画で、運転資本について甘い見通しを立てて会社を買ってしまうと、立ち所に厳しい局面を迎えてしまうかもしれません。

後述しますが、「事業譲渡」で会社を買う場合はとくに注意が必要です。事業譲渡では運転資本がついてきません。資金繰りはとくに厳しめに見て、余裕のある運転資本を準備する必要があります。

「株式譲渡」の場合、運転資本はついてくるので、売上が大きく変動するビジネスでなければ、従来通りの経営を進めていけば、突然、資金繰りがショートするということは少ないでしょう。

関連記事→株式譲渡と事業譲渡の違いの記事

デューデリジェンス をして、どうしても資金繰りの安定が見込めないのなら、その会社を買うことはあきらめた方がいいと思います。

KPI

事業計画に実効性を持たせるため、KPI(Key Performance Indicator=重要業績評価指標)を設定する方法があります。

KPIとは、その会社のビジネスの根幹部分を評価する指標で、KPIの数字を見ておけば、そのビジネスがうまく行っているかどうかがわかる、というものです。KPIの数字が達成できれば、売上や利益などの大目標も達成できることになります。

KPIは大企業に勤めている人なら常識でしょう。KPIやPDCAのような、大企業では耳慣れた言葉も、中小企業ではまったく聞かないし通じないということが珍しくありません。中小企業でこうした概念を導入すれば、ビジネスを改善できる可能性が高いでしょう。

KPIの設定方法を簡単に触れておきます。

たとえば、会社の事業目標が「売上高1億円キープ」だった場合、その目標達成のために見るべきKPIとは何になるでしょうか。

売上高を細分化すると、「顧客数」と「平均客単価」から成り立っていることがわかります。それに加え、売上高には「平均購入頻度」という数字が大きく関わります。

この3つの数字が例年通りなら、売上高1億円は変わりません。「売上高1億円のキープ」を達成するには、この3つの数字を見ておけばいいこととなり、その数字がKPIになります。

ですから普段はこの3つの数字を見ながら経営管理をします。これらの数字で思わしくないものが出てくれば、その数字を細分化して見ていくことになります。

売上や費用を細分化しながら、KPIに通じる会社や事業のキーポイントを確認することは、デューデリジェンスにおける重要な作業のひとつです。それはつまり、その会社や事業にとって何が重要なのか、その根幹をとらえることです。その会社や事業の根幹をとらえることができれば、継続性や成長性が判断できるようになります。そしてその判断は、M&Aを最終的に実行すべきかどうかの判断につながっていくのです。

まとめ

今回は、個人M&Aにおける事業計画を作成する上で重要なポイントを解説しましたが、いかがだったでしょうか?重要なポイントをまとめると、運転資本を確保して、目標達成のために明確で具体的な数値目標を定めるということです。より具体的で現実的な事業計画を作成することができれば、事業を実際に行っていく中っっで、「使える」事業計画となるでしょう。

最後まで読んでいただきありがとうございました。


記事監修

三戸政和(Maksazu Mito)

2005年ソフトバンク・インベストメント入社。兵庫県議会議員を経て、2016年日本創生投資を投資予算30億円で創設し、中小企業に対する事業再生・事業承継に関するバイアウト投資を行う。


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