スモールM&Aのスキームは主に2種類?その2つを説明

そろそろM&A終盤に

この時点でみなさんは、その会社のこと、ビジネスのこと、市場環境のことなど、買収対象の会社についておおむね理解したはずです。

損益計算書は正常収益力を表すものになっていますし、貸借対照表も実態純資産を表すものに更新されています。

その会社の強みやリスクを把握し、リスクについてはそれをヘッジするための方法も検討しました。

その上で、買収後の経営方針を事業計画としてまとめています。収益改善の方法(例、営業の効率化、新たな販売戦略)、費用改善の方法(例、原価交渉、販売管理費の見直し)、運転資本の改善の見込み(例、支払い条件の交渉)、財務改善の方法(例、借入の借り換え)などを、数値計画や人員計画、方向性として打ち出しています。

さらに、その会社のビジネスのキーポイントを理解し、KPIも設定しました。

そろそろM&Aの実行フェーズも終盤です。残りは、会社を買うためのスキーム(買い方)を考えるプロセス、会社の値段をつけるプロセス、資金調達のプロセス、売り手と買い手の双方が売却に合意した上で、それを契約書にまとめるクロージングのプロセスになります。

残りのプロセスのうち、まずは会社の買い方であるスキームについて解説しましょう。

スキームとは?

M&Aでは、さまざまなスキーム(会社を手に入れる方法)があります。株式譲渡や事業譲渡によって買収する方法、合併や共同株式移転によって経営統合をする方法、会社を分割して、新設、もしくは吸収する方法などです。

これらのスキームの中で、スモールM&Aを目指すみなさんに関わってくるのは、「株式譲渡」と「事業譲渡」の2つの買収方法です。レアケースで、「新設分割」のスキームを使うことがありますが、みなさんとしては、株式譲渡と事業譲渡の2つについて、理解しておけばいいと思います。

デューデリの結果、複雑な会社の買い方が必要になることがあります。たとえば、買収対象の会社が持つ2つの事業のうち、ひとつに問題があることがわかり、そちらは切り離した形で買いたいといったケースです。

そんなこともありますから、スキームの特徴を理解した上で、その会社や事業を買うためにはどのスキームが適当かを検討しましょう。

次のコラムから、株式譲渡と事業譲渡という2つのスキームについて、詳しく解説していきます。


記事監修

三戸政和(Maksazu Mito)

2005年ソフトバンク・インベストメント入社。兵庫県議会議員を経て、2016年日本創生投資を投資予算30億円で創設し、中小企業に対する事業再生・事業承継に関するバイアウト投資を行う。




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