初期デューデリジェンスにおけるポイントとは!?徹底解説

インフォメーションメモランダムとは?

NDAを結んだら、その会社の詳細な情報として、インフォメーションメモランダム(IM)という、FAや仲介がまとめた資料をもらえます。そのIMを分析して、「その会社に本当に買う価値があるのか」を調べるのが、初期デューデリジェンスです。

IMは、ノンネームシートと同様、案件化されていない会社にはありません。そんな会社について初期デューデリをするためには、自分でIMレベルの情報を手に入れる必要があります。そのためにもIMのポイントを理解しておきましょう。それが、案件化されていない会社を見る目線にもなります。

初期デューデリジェンスのポイント

初期デューデリとして、IMを見るポイントです。

「会社の概要」には、本社の所在地、代表者、株主構成、関係会社、従業員数、支社、工場のほか、資本金、純資産、売上、利益などの情報が書かれています。これらは会社の基本的な部分なので、ひと通り、確認しておきましょう。これらの項目で抜けがあると、会社のことをわかったとは言えません。

とくに株主構成はしっかり見ておきましょう。もしオーナーが100%の株を持たず、ほかにも株主がいる場合、会社を買うには、その株主とも交渉をする必要が出てきます。オーナーとの合意内容を、ほかの株主も納得して株式譲渡に応じてくれればいいですが、そうはいかないこともあります。交渉相手がひとりではなく、複数になることは、それだけ不確定要素が増えるということです。株主構成はM&Aの成否に関わる重要なポイントです。

事業概要」にはその会社のビジネスについて書かれています。ビジネスがどのような流れで組み立てられているか、主要な商品はなにか、主要な顧客はどう構成されているか、仕入れ先はどこで、取引条件はどうなっているか、などをチェックしましょう。ビジネスに必要な許認可があるか、あるならそれを維持できるかの確認も必須です。その会社のビジネスについて、大枠は理解するようにしましょう。

組織構造」では、役員構成はどうなっているか、どういう人が役員をしていて、彼らは会社に残ってくれるのか、業務の所管はどうなっているかを確認しましょう。職位制度やガバナンス体制、関連会社の状況についてもチェックが必要です。

従業員」に関しては、従業員数、平均年齢、平均勤続年数、男女比、雇用形態などを確認しておきましょう。とくに平均勤続年数は、短いとすぐやめる人が多いということですから、短い場合はその会社のビジネスの継続性に疑問符がつきます。また、従業員が持つ資格でその会社のビジネスに必要なものがあれば、その内容、保有状況についても確認しておきましょう。

以上が、初期デューデリで会社を見るときの、必要最低限のチェックポイントです。さらに細かく見るなら、仕入れや商品開発、取引などの状況についてプロセスごとに確認したり、その会社の置かれた市場環境を調べたり、BSやPLをより詳細に分析したりします。

これらの点をチェックした上で、疑問点があれば、売り手や仲介などに問い合わせ、必要な資料があれば、取り寄せて確認しましょう。

初期デューデリジェンスのこうした作業を経て、そこがどんな会社なのか、良い会社なのか、その会社を買いたいか、交渉をさらに進めるべきかの判断ができるようになります。交渉をさらに進めたいと思ったら、次のプロセスは「面談」となります。次のコラムに続きます。


記事監修

三戸政和(Maksazu Mito)

2005年ソフトバンク・インベストメント入社。兵庫県議会議員を経て、2016年日本創生投資を投資予算30億円で創設し、中小企業に対する事業再生・事業承継に関するバイアウト投資を行う。




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