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買収ターゲットを絞ろう
以前のコラムで、買収計画作りの中で、定性判断と定量判断というふたつの物差しを使って、買いたい会社を決めようと解説しました。その上で、ソーシングにおいては、実際の案件を集めるために、知り合いや専門家、公的組織やM&Aマッチングサイトなどと接触していきます。
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そのとき彼らに、「こんな会社を探している」と説明するために、買収計画で示した自分が買いたい会社を、業種や地域、会社の規模、財務的な数値、買収金額などの条件にしておきましょう。
不動産でたとえれば、「東京の銀座4丁目にある8階建てのオフィスビルを5億円で買いたい」というような条件にしておきます。その条件を、ソーシングの過程で出会うFAや仲介などのプレイヤーに、「こんな条件の会社ありませんか」と示していくのです。そこで相手が条件に合う案件を持っていれば、紹介されやすいというわけです。
しかし絞りすぎもダメ!
この条件が曖昧だと、相手としては紹介しづらくなりますし、この不動産の条件例のように絞り過ぎても、8丁目のビルや9階建てのビルは紹介されない可能性が高く、条件設定としてよくありません。
ターゲットの条件は、ある程度絞ることが必要ですが、どこまで限定するかは、プレイヤーとやり取りをする中で、柔軟に決めていきましょう。
たとえばこの条件を示して、相手のプレイヤーが「どうしても4丁目がいいですか」という聞き方で、ほかの地区なら案件がありそうなことを示したのなら、「銀座ならいいですよ」と範囲を広げた言い方に変えるということです。それなら、「8丁目でいいビルがありますよ」と紹介してもらえて、そこを検討することができます。
ソーシングの目的は案件に出会うことです。多くのプレイヤーとコミュニケーションを取り、自分が案件に出会うためのより良いやり方を探りながら、ソーシングを進めていきましょう。
次のコラムでは、ソーシングにおいて、私がもっとも大事だと思うことについて、お話しします。
記事監修

三戸政和(Maksazu Mito)
2005年ソフトバンク・インベストメント入社。兵庫県議会議員を経て、2016年日本創生投資を投資予算30億円で創設し、中小企業に対する事業再生・事業承継に関するバイアウト投資を行う。