M&AにおけるPMIと売却の重要性について説明

PMIと売却のプロセスの重要性

会社を買収すると、「買収後経営(PMI)」のプロセスに移ります。将来的には、会社をバリューアップして「売却」するというプロセスも想定できます。

この「PMI」と「売却」というプロセスが、M&Aにおいては、初めから想定しておくべき大事なプロセスなのです。なぜかというと、買収後のことをイメージしておいた方がより良いM&Aができるからです。

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PMIと売却を見据えた上でM&Aをする

会社は、買ったその瞬間から経営が始まります。経営は事前に作った「事業計画」に沿って進められますから、事業計画には、どんなふうに動くかが具体的に示されていなければなりません。

事業計画が「使える」ものであるためには、デューデリジェンスをしながら、その会社でどんな経営をしたいのか、どんな改善をするかなど、PMIの具体的なイメージを膨らませ、それを事業計画に落とし込むという、買収前の行動が大切になってきます。

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さらには、PMIはその会社が将来、どのように売却できるかにも関わります。どのように売却するかのイメージが、どんなPMIを行うかを決めるのです。

つまり、どのように売却するかのイメージの上にPMIがあり、具体的なPMIのイメージの上に事業計画作りやデューデリがあるのです。

「売却」や「PMI」の具体的イメージを持つのと持たないのでは、デューデリの動き方も、相手側との交渉も、さらには会社の探し方においても、その行動に大きな差が出てくるでしょう。

あなたがウェブコンサルタントだったら

具体的に説明しましょう。たとえば、あなたが、楽天でウェブコンサルティングをやっているとします。あなたはウェブ系のノウハウをスキルとして持っていますから、ウェブ系が弱い会社を買えば、あなたの持つスキルを導入して、その会社の価値を上げることができるでしょう。買収した会社がウェブ系のノウハウを持てば、従来のビジネスに加え、ウェブビジネスでも利益を上げることができますし、将来的には、ウェブ系のノウハウがほしいところに売却できると想定できます。

このように、「自分は会社にどういう付加価値をつけられるか」「どんな経営をすればいいのか」「どういう買い手に買ってもらえるか」というPMIと売却というプロセスを想定しておけば、「そもそもどんな会社を探せばいいか」が見えてくるわけです。つまり、M&Aのプロセスとは、会社探しから売却までがひとつながりなのです。

会社を買う人の中には、「自分は会社を買ったらずっと経営していくつもりだ」という人もいるでしょう。そんな人でも、「会社の売却」を想定することは必要なのでしょうか。

私は絶対に必要だと考えていますが、そのお話は次のコラムに続きます。


記事監修

三戸政和(Maksazu Mito)

2005年ソフトバンク・インベストメント入社。兵庫県議会議員を経て、2016年日本創生投資を投資予算30億円で創設し、中小企業に対する事業再生・事業承継に関するバイアウト投資を行う。



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