サラリーマンと中小企業がM&Aで生き残る道

これは、「サラリーマンは300万円で小さな会社を買いなさい」をサイトverでより詳しく解説したコラム(全コラム無料)の第1話/全17話になります。字数や語彙などをはじめ、サラリーマンや学生が通勤時間などといった片手間に読みやすい形にしているので、ぜひお気軽にご覧ください。

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1-1 個人が会社を買うという新しい生き方

サラリーマンよ、会社を買いなさい――、私が講談社のネットメディアでこう呼び掛けたのはいまから4年前、2017年5月でした。

会社を買うということはM&Aをするということです。当時は、「個人が会社を買う」という概念自体がありませんでしたし、サラリーマンなどの個人にとってM&Aなんて縁遠い話でしたから、私の呼び掛けは、「そんなことできるはずがない」「サラリーマンが会社を買うなんて」と非難轟々、大きな反発を受けました。

しかし、その一方で、少なくない人たちから、好意的な反響がありました。彼らが寄せてくれた声の多くは、「個人でもM&Aができるなんて知らなかった」「個人が『会社を買う』という道があることに気づかされた」というものでした。

それまでの働き方は、「どこかに雇われる人生を全うする(=サラリーマン人生)」か、「起業する(=脱サラ)」かの2本のルートに限られていました。その中で、私の呼び掛けは、そのどちらとも違う馴染みのないものでした。世間は馴染みのないものに対して、どちらかというと、否定的な反発をしがちです。

たしかだったのは、私の呼び掛けは、少なくない人にとって、それまでにはなかった新しい人生の選択肢として届いたということです。

賛否両論、大きな反響を受けて、そのネット連載は、「サラリーマンは300万円で小さな会社を買いなさい」という本にまとめられました。今ではおかげさまで、これまでに20万部を発行するロングセラーとなっています。それ以来、私はほかにも本を数冊上梓し、個人が会社を買うためのオンラインサロンも開設しました。講演活動やメディア出演も増え、最近は子どもの頃からの夢だったラジオ番組を持つこともできました。

私がこうした活動をするのは、「個人が会社を買うことが普通である社会」を作りたいと考えているからです。このサイト「SMALL M&A .com」もその活動の一環です。

1-2 個人が会社を買うことが普通な社会

「個人が会社を買う(M&Aする)ことが普通である社会」を作るには、多くの人にその意識を変えてもらわなければなりません。

私が呼び掛けるまでは、「個人が会社を買う」という概念自体がありませんでしたから、ほとんどの人の中には「会社は買えるものだ」という意識がありませんでした。当然、売り手側の意識の中にも、会社の買い手として個人は入っていません。

私の呼び掛けから始まって、少しずつメディアの情報や同じ方向性を持つ本などが増え、「個人が会社を買う」という概念が広がり始めました。多くの人の中に、「会社は個人でも買えるものだ」「個人でもM&Aができるんだ」という認識が徐々に広がってきています。

そういう認識が広がれば、次に必要になるのは、個人が会社を売買するための知識です。私はこれまでの本や講演、オンラインサロンなどで、そうした知識を紹介してきましたが、このサイトでもそのための記事を取り揃えていきます。

このサイトの記事を読めば、「個人が会社を買う」ための必要な認識と知識が得られ、個人がM&A市場の一員となって、会社を売買できるようになるはずです。

1-3 中小企業に届いてほしいM&A

私がとくに届いてほしいと思っているのは、売り手である中小企業のオーナーの方々です。

会社を興し、その会社を我が子同然に育てて、自分も成長してきたオーナーの方々が、めったなことでは会社を手放したくないと思うのは当然です。ゆえに、かつては会社を売ることは「身売り」とも言われ、敬遠されてきた経緯がありました。

しかし、人はだれしも寄る年波には勝てないのです。オーナーの方々はいつか必ず、第一線から身を引かなくてはなりません。

そのときまでに、会社という我が子をどうするのか。親であるオーナーの方々は考えておかなくてはならないのです。人間の子どもは放っておいても自分の人生を歩むものですが、会社という我が子の行く末は、オーナー自身が整える必要があります。

自分の会社をどうするか――。オーナーの方々がそう考え始めたとき、その助けとなる情報をこのサイトにまとめておこうと思っています。ここの記事を読めば、なぜ会社を売らなければならないかがわかり、どうすれば、我が子同然の会社に、ふさわしい「良縁」を探して引き継いでもらえるのか、などがわかるものにしたいと考えています。

記事の内容は私がこれまで書いたりしゃべったりしてきたことと重なります。ですが、だれもがアクセスしやすいサイトという性質上、これまで私が本などの形で示したもの以上に、どんな人でも読めて、理解でき、「なるほどな」と思ってもらえるものを書いていきたいと思っています。

(2238字)

続いてのコラム(2弾)では、中小企業のM&A、個人M&Aを巡る状況とその変化について掘り下げていきます。

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記事監修

三戸政和(Maksazu Mito)

2005年ソフトバンク・インベストメント入社。兵庫県議会議員を経て、2016年日本創生投資を投資予算30億円で創設し、中小企業に対する事業再生・事業承継に関するバイアウト投資を行う。



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