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2018.06.30

資金調達の種類

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この章では資金の調達の方法について説明します。
資金の調達の方法は大きく分けて、3つあります。①自己資本を増やす方法、②他人の資本を利用する方法、③資産を売却する方法、の3つです。それぞれの方法について主な例を挙げながら説明していきます。

○自己資本を増やす
 株式の発行によって、資金を調達する方法です。これによって得られる資金は自己資本となりますから、返済の必要がありません。主な方法としては、増資やファンドなどからの投資があげられます。
 
 ①増資する
 新しい株式を発行して、自己資本を増やします。広く一般の人に買ってもらう公募増資や、特定の人に新たな株を割り当てる第三者割当増資などの方法があります。ただ、増資をすると株式が増え、買収や合併のリスクも高まります。こうしたリスクを避けるため、普通株式ではなく、配当を優先的に受けられる代わりに議決権には制限のあるといった種類株式を発行する方法もあります。

 ②投資を受ける
 投資ファンドや企業から投資を受けて、資金調達をする方法です。投資資金の代わりに株式を渡します。投資する側は、会社が成長したり、経営改善が図られたりした段階で株式を売って利益を上げます。
 創業したばかりの会社では、裕福な個人が自己資金で投資をするエンジェルファンドや、多くの人から出資を受けて運用しているベンチャーキャピタルが有力な資金調達先です。
このほか、成長期の会社ではバイアウトファンドが、再生プロセスの会社に対しては事業再生ファンドが、スポンサーやM&Aなどの形で投資をしています。このほかにも、様々なファンドが、様々な形で活躍しており、資金調達の選択肢は広がっています。
 また近年、会社外のアイディアを積極的に取り入れて、新しい商品やサービスを作っていこうというオープンイノベーションが盛んになってきたことを背景に、企業が積極的にベンチャーなどの企業へ投資するケースが増えてきています。企業の場合は、投資先企業の技術やアイディアを事業化して、自分の会社に取り込んだり、連携を強化したりして、自らの事業へとつなげることを目的としています。

○他人の資本を利用する
 金融機関から融資を受けるなど、他人の資本を利用して資金を調達する方法です。こちらの資金は自己資本とはならず、他人の資本のままですから、負債となります。負債は返済の必要がありますから、定められた利息と元本を、定められた方法で返済していきます。

 ①お金を借りる
 金融機関などから融資を受ける方法です。もっともメジャーな資金調達方法ですが、銀行から融資を受けるには、充分な収益性と信用が必要です。中小企業など信用力が低い場合は、公的な機関である信用保証協会が保証をする形で融資を受けることができます。
政府系金融機関など公的な機関からの融資は、金利が低く、借りる側に有利な条件で融資を受けられます。また、地域の中小企業を支援するために地方自治体が設けている制度融資という仕組みも有力な資金調達先です。
このほか、銀行やノンバンクからのビジネスローンという調達方法もありますが、これらの金利は非常に高く設定されています。

 ②社債を発行する
 会社が債券を発行して、広く一般の人に買ってもらって、資金を調達する方法です。株式とは違い、購入者が経営に関与することはありません。つまり社債とは、会社が社債の購入者からお金を借りるということであり、お金は定められた期限までに利息をつけて返済しなければなりません。社債を買ってもらうには、出したお金が利息とともに必ず返還されるという非常に高い信用力が必要となってきます。

 ③補助金、助成金
 起業を促す目的で設けられ、創業に利用できる公的な補助金や助成金があります。使い道や額に制限があり、申請には時間と手間も掛かりますが、起業の際には最大限、利用すべきものといえるでしょう。

○資産を売る
 持っている資産を売って、資金を調達する方法です。不動産や有価証券、在庫となっている商品、売掛債権などの債権、会社が持っている機械や設備など、売却できるものはさまざまあげられます。経営に影響しない範囲で検討しましょう。
 この方法では手早く資金が手に入りますが、売却価格が実際の価値よりも低くなりやすいというデメリットがあります。

○再生プロセスにおける資金調達
 会社が再生のプロセスに入った場合は資金調達の方法も変わってきます。再生プロセスではたいていは債務の返済をストップしますから、金融機関は通常の形では新たな融資をしてくれません。では、再生プロセスにおいて資金が必要なった場合、どんな資金調達の方法があるのでしょうか。

 ①資産を売る
 まず検討されるのが資産を売るという選択肢です。再生プロセスにおいて資金が必要になるのは資金繰りのためと考えられます。資金繰りは再生プロセスの土台ですから、不動産などの遊休の資産、機械設備、有価証券、在庫商品など、売却が可能なものは経営に影響を与えない限り売却されるでしょう。
 
 ②自己資本を増やす
 再生プロセスにおいて、自己資本を増やす資金調達は、再生のためのスポンサーを受け入れることで可能になります。スポンサーによって供給された資金は、資金繰りよりも、会社や事業の抜本的な立て直しのために使われることが多いでしょう。

 ③他人の資本を利用する
 再生プロセスにおいては、通常は金融機関からの新たな融資は見込めませんが、近年、再生プロセス時に融資を行うDIPファイナンスといわれる融資が広がってきました。
 DIPファイナンスとは、再生プロセスにある会社に対して資金を融資する方法です。ほぼ倒産状態にある会社に融資するわけですから、その債権は最優先で支払われるものであることが求められます。
 法的整理手続きが正式に申し立てられた後に、DIPファイナンスで融資された債権については、ほかの債権より優先される共益債権として取り扱われます。債権のカットなど再生計画による影響も受けることはありません。
 一方で、問題となっているのが、私的整理手続き中や法的整理申し立て前の融資である、プレDIPファイナンスです。プレDIPファイナンスによる債権は、事業再生ADRなど一部の私的整理においては優先的な取り扱いがされていますが、それ以外は、法的な保護が充分ではなく、その扱いは、関係者間の合意に委ねられています。
 プレDIPファイナンスでは、融資を受けた会社に対する金融機関の査定においても、保護がまだ不十分だという指摘があります。
プレDIPファイナンスも含めたDIPファイナンスによる債権は、アメリカでは超優先的といわれる扱いがなされ、DIPファイナンスは広く利用される手続きとなっていますが、日本ではまだ法的な保護が充分とはいえず、どのような法的な制度を整えるべきか、検討が続いています。