Column

2018.01.20

あくまで事業再生のために

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会社が傾き始めるときというのは、たいてい同じような道筋を辿ります。
まずは営業利益が減って赤字となり、資金繰りが難しくなり、そこで借入金を増やすことで財務状況も悪化し、果てには債務超過に陥るという道筋です。
経営の悪化の原因は、事業の停滞、多角化の失敗、財務的な問題などさまざまでしょう。大切なのは、悪化の兆候が出始めたときに、事業の絞り込みやコスト削減などの手を打って、経営悪化の原因を取り除くことです。でもこういうとき、経営者の方の多くは、銀行に融資をお願いしたり、債務の返済を延期してもらうよう頼み込んだりと、資金繰りのことで頭がいっぱいになり、経営悪化の原因にまでは考えが及ばないことが多いのではないでしょうか。果てにはブラック金融からの金策に走ろうものなら、さらに状況を悪化ことになり、こうなると、いたずらに時を費やすだけです。
事業の再生という観点から見ると、時が経過するにつれて、取り得る手法も狭まっていきます。会社の存続や事業の再生を図りたいなら、早め早めに手を打つことが大切です。金策に走り回る経営者の方の気持ちも分かりますが、一歩引いた目で、会社の存続、事業の再生という観点から、会社や事業を見直してみることが必要でしょう。

経営の環境に合わせて企業が淘汰され、弱い企業が市場から退出することは、産業の構造の変化を促し、市場が成長していくためには必要なプロセスです。このプロセスが正常に機能しなければ、経済全体がうまく回らなくなります。バブル崩壊後の失われた十年と呼ばれた日本がそうでした。
企業が弱くなる原因というのは、事業そのものの弱さ、経営陣の問題、財務上の問題などさまざまな理由があるでしょう。企業が弱いままならば、市場から淘汰され退出していくべきなのでしょうが、その弱さの原因を取り除けば、競争力が回復し、企業として再建ができるとしたら、それは市場全体にとっても意義があります。企業で働く従業員にとっても、働く場を失わないで済みますし、企業のもたらす商品やサービスも市場から失われずに済みます。取引先への悪影響も防ぐこともできますし、債権者へ支払いを続けることも可能です。
このようにマクロの面でもミクロの面でも、会社の再建、事業の再生の意義は大きいといえます。

しかし、会社の再建や事業の再生にはタイミングがあります。会社の終わりに向けて、いつ手を打つべきなのかについては、会社の業種や規模、経営状態などさまざまな条件によって変わってくるため、一概にはいえません。
会社の再建や事業の再生は、基本的には、債務の免除やリスケジュールなどの整理を行いながら、会社や事業を収益性のあるものに再構築していきます。短期的な手当てをしつつ、財務的な整理をしながら、長期計画を立てて、会社や事業を再生させていくわけですから、そのための時間を生む会社の運転資金に加え、専門家に払う費用など、資金的な裏付けはどうしても必要です。
だからこそ資金的な余裕があるうちに、会社の終わりに向けた判断を下さないといけないのです。

後継者のめどが立たないなら――、赤字決算の改善の目処が立たないなら――、手元の資金繰りが厳しくなってきたなら――、業界全体が下り坂に向かっているとしたら――、なにかの手を打つべきなのかもしれません。
会社の再建や事業再生には早め早めの対応が必要です。
相談先は、まずは顧問の税理士さんや弁護士さんなどになるでしょうが、中小企業の再生を支援する相談窓口が各都道府県にありますし、事業再生の専門家や組織も増えてきています。
その道のプロに相談をすることで、会社にとって最善の道を選択しましょう。