Column

2018.01.10

倒産を巡る環境は変わってきた

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経営者の方が、会社の終わりと聞いて、もっとも心配されるのは、やはり倒産でしょう。でも、会社の終わりとは、倒産だけではありません。事業の売却のために、もとの会社を終わらせたいとか、後継者がいないため会社を清算したいなどの理由で会社を終わらせることもあります。会社を売却したり合併したりするM&Aという手法も、会社を終わらせる手法のひとつと捉えられるようになってきました。

会社を終わらせる手続きには、二種類の手続きがあります。法律による手続きと、法律によらない任意の手続きです。
法律による会社の整理は、「法的整理」といい、裁判所の管理の下で進められます。その手続きは、破産法や会社法などの法律に定められており、透明性のある手続きによって、公平に進められていきます。多くが会社の終わりをイメージするのはこの手続きでしょう。
一方、法律によらない任意の手続きは、「私的整理」といい、関係者の話し合いによって会社の整理を進めていきます。関係者を厳格に拘束するルールはなく、話し合いによって関係者全員の合意を目指す方法です。

日本ではバブル経済の崩壊後、不良債権の処理が大きな問題となりました。経済は大混乱となりましたが、このとき機能すべきだったのが、不良債権や倒産を処理して会社を終わらせるシステム、いわゆる倒産法制でした。しかし、このときの倒産法制は、古かったり、使い勝手が悪かったりなどの理由で十分な機能を果たすことができませんでした。
不良債権の処理は遅々として進まず、再建可能な企業が再建できないこともありました。倒産法制が機能しなかったことは、日本経済の回復が大きく遅れた要因となり、倒産法制は抜本的な改正がおこなわれることになりました。
この改正によって日本の倒産法制は、日本の事情に合わせた使いやすいものになりました。同時に、裁判外の手続きである私的整理についても環境作りが進み、金融界と産業界の協力によって紳士協定ともいえるルールが設けられました。
さらに、ここでなにより大きかった変化は、倒産法制に、財産の公平な清算を図る目的に加え、破綻した会社の救済や事業の再生を目指す目的が加わったことです。民事再生法や会社更生法などの法律が整備されたことで、法的手続きでも、裁判所の管理の下で、事業の再生を目指す方針がはっきりと打ち出されました。私的整理の手続きでも、事業の再生を念頭に置いたルールがいくつも設けられました。

この新しい倒産法制のもと、日本の倒産を巡る環境は大きく変わりました。傾きかけた会社は、会社の再建や事業の再生を目指しながら、会社を終わらせていくということが基本のルールとなったのです。現在では、法的整理と私的整理をうまく組み合わせながら、倒産の前の段階で、私的整理に着手し、継続可能な事業については売るなどして事業の再生を図り、残りは法的な手続きも利用して、倒産の処理をするという進め方が多いようです。
終わりを迎えた会社であっても、生かすべきところは生かしていこうという倒産を巡る環境が作られたことによって、会社の再建や事業の再生は市場として確立され、それを担う専門家も生まれてきています。