Column

2018.04.01

会社の終わりに向き合う

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「自分がいなくなったら、この会社はどうなるのだろう」
「今後もこの事業を続けていけるだろうか」

会社の先行きに不安を覚えたことはないという経営者の方はいらっしゃらないと思います。 昨今の経営環境は変化が激しく、グローバルかつ低成長が前提の経済に変貌しつつあるいま、そこで生き残っていくことはますます難しくなっています。とくに中小企業の経営者の方は、会社を存続させることの困難さを、日々痛感されているのではないでしょうか。

経済市場は市場原理主義、弱肉強食です。非効率な企業、弱い企業は市場から退出させることが、市場のためには大切で、合理性がある。たしかにそうなのでしょう。日本経済は、バブル崩壊後に大きな混乱を来したことの反省もあって、国や経済界が、経済環境を守るために、弱い会社をどう淘汰していくかについて、法律などの整備を進めてきました。
M&A、事業再生、私的整理ガイドラインなどの言葉を耳にしたことのある方も多いと思います。これらはいわば、弱い企業を市場から退出させるための方法です。これらの方法が私的にも法的にもさまざまに整えられたことで、事業再生ファンド、企業再生専門の経営者など、この分野で活躍する人々も増えてきました。

ドイツの哲学者、ハイデガーはこう述べています。

「人は、いつか必ず死が訪れるということを思い知らなければ、生きているということを実感することもできない」

私たち人間は、死というものをなるべく避け、見ないようにして生きています。死は理解できず、私たちに不安を抱かせるものだからでしょう。でも、人間は、その不安と向き合ってこそ、より良く生きることができる――、ハイデガーはそういっているのです。
この言葉には、多くの方が納得できるのではないでしょうか。自分が重い病気になったり、身近な人の死に接したりしたとき、人間の生というものが、どれだけかけがえのない、輝きに満ちたものであるかを知ったという人も多いでしょうし、たとえそういう経験がない人でも、その想像は難しくないでしょう。

人間と同じように、会社もいつか終わりを迎えます。
でも、会社で働く従業員は、いまの会社がずっとそのままで、あしたも来年も同じように働いていけると思っているでしょう。会社と取引する人にとっても、会社の存続は当然の前提です。
しかし、経営者の方は、彼らと同じではいけないと思います。会社の存続を信じる従業員や取引先の期待に応えるためにも、経営者の方は、「会社の死」という不安と向き合い、「会社の死」について考えておくことが、大切なのではないでしょうか。

もし、会社に万が一のことが起きたらどうするのか――。会社が継続できなければ、一緒に働いていた従業員は路頭に迷い、取引先にも大きな迷惑が掛かります。しかし、経営者の方が、会社の終わり方について熟知していれば、会社が死に至るまでに、さまざまな手を打つことができるはずです。事業や株式を売却するタイミング、事業を継続するために会社を分割できるタイミングなどもあるかもしれません。
会社の再建や事業の再生の可能性があるうちに、会社の舵を方向転換できれば、大切な従業員にも取引先にも迷惑をかけることにはならないでしょう。ともすれば、自らのリタイア後の資金も用意できるかもしれません。
でも反対に、その判断が遅れるとしたら――。おそらく会社も事業の継続もままならず、会社は、倒産という死を免れなくなるでしょう。

近年、会社の終わらせ方については、さまざまな方法が確立されてきました。そして、M&Aや会社の再建などの手法を学ぶことは、現在のビジネスを発展、進化させるためにもきっと役立つでしょう。
つまり、会社の死について知っておくことは、経営者の方にとっては、万が一に備えるだけでなく、現在のビジネスをより良いものとすることにもつながるのです。ハイデガーの言葉どおり、人間が死と向き合って生を充実させるように、経営者の方は、会社の終わりと向き合ってこそ、いまのビジネスを充実できるのでしょう。

このサイトでは、経営者の方が知っておくべき、「会社の終わらせ方」についての情報をまとめました。
事業の再生の可能性があるうちに、社長さんが、会社の命運を決める大切な判断ができるよう、参考にしていただければと思います。